市川海老蔵「夫として、父として」独占インタビュー

奇跡を起こすためにベストを尽くす

妻・小林麻央が病と闘う中、それでも舞台に立ち続ける海老蔵。彼の「決意」を訊く。

ブログに綴った切なる思い

10月3日、市川海老蔵はブログにこう書いた。

「おれがたすける」

その日、妻の麻央さんは、ブログを通じて乳がんがステージ4の状態にあることを告白していた。

「一般的には、根治は難しい状態と言われるかもしれません」

哀切であった。しかし、海老蔵は力強く、夫婦間の「公開書簡」で妻を励ました。

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ここ10年ほど、海老蔵の人生は波瀾万丈であった。

 

父・十二代目市川團十郎は、2004年5月、海老蔵の襲名興行中に急性前骨髄球性白血病の診断を受けた。歌舞伎座の舞台上、『勧進帳』で父の弁慶が台詞を言っている時に唾液が飛び、そこに血が混じっているのを海老蔵が見つけたのだ。どれほどの衝撃だっただろうか。

10月のパリ公演で復帰するも、翌年に再発。そこから骨髄移植を受けて奇跡の復活を果たし、'12年まで舞台に立ち続けた。

父がことのほか喜んだのは、'10年に海老蔵が麻央さんと結婚したことだ。生前、「海老蔵は私が言うことは聞かないんですが、同じことを麻央さんから言ってもらうと、聞くんですよ」と語っていたことを思い出す。

しかし團十郎は'13年に亡くなり、そのわずか47日後に誕生した長男・勸玄君を見ることは叶わなかった。

〔PHOTO〕gettyimages

海老蔵と父の共演で忘れられないのが、'09年に初演された『石川五右衛門』である。海老蔵が五右衛門、團十郎が豊臣秀吉に扮し、新作歌舞伎であるにもかかわらず、古典の味わいもあれば、海老蔵の豪快な葛籠(つづら)抜けもあるという趣向に満ちた作品だった。

この『石川五右衛門』が、10月14日からテレビ東京系列で海老蔵主演の連続ドラマとして登場することになった。

今回のドラマは、歌舞伎の設定をそのままテレビに移行させ、海老蔵が作り上げた「五右衛門世界」のスピンオフ版といえる。海老蔵自身が語る。

「國村隼さん演じる豊臣秀吉や、比嘉愛未さんの茶々と五右衛門の関係は、そのまま生きてます。ドラマでは時間もたっぷりあるし、そうした関係性が舞台の時よりも具体的になってますね。歌舞伎で重要な意味を持っていた煙管も登場します。でも、硬いことは抜きにして、時代劇らしい要素が入っているし、楽しんでいただけると思います」

長男・勸玄はまるで團十郎の生まれ変わり

『石川五右衛門』の製作は昨年の冬から今年の夏にかけ京都で行われたが、昼は撮影、夜は舞台というハードなスケジュールを海老蔵はこなした。

多忙だからこそ、海老蔵は体調管理に気を使っている。頻繁に更新されるブログでは、「サクっとジムへ」「これから泳ぎに」といった文言が並ぶ。限られた時間の中でも、体のメンテナンスには時間を惜しまない。