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虫ラーメン、サル肉、胎盤餃子…好きモノ2人が選ぶ世界最強の珍味
クサすぎて消防隊が来た食べ物って…?

世界の「くさいもの」を食べてきた、発酵学者の小泉武夫さんと、納豆のルーツを求めミャンマーとインドの国境まで出向いた、冒険家でノンフィクション作家の高野秀行さん。寄食珍食をこよなく愛する(?)2人が勝手に選ぶ「珍味」ランキング発表!

納豆の30倍のクサさ!

小泉武夫(以下:小泉) 私も高野さんも世界中を飛び回って様々な食文化を体験してきましたが、クサい食べ物の代表格といえば、ニシンを塩漬けにして缶のなかで発酵させた、シュールストレミング(スウェーデン)でしょう。

高野秀行(以下:高野) 私はまだ経験したことがないのですが、ちょうど今、家にあるんです。スウェーデンに住む友人からお土産にもらったのですが、いつ開けようかと考えているところです。

小泉 決して自宅では開けないようにしてくださいね(笑)。

雑誌の企画でシュールストレミングを食べる機会があったのですが、缶を開けたのが赤坂にあるビルの一室でした。缶に切り込みを入れた瞬間、プシューッとガスが噴出してきて、強烈な臭いが周囲に拡散した。あまりに臭いが強いもんで、他の部屋の人が驚いちゃって消防隊が駆けつける異臭騒ぎになってしまいました。

高野 それは災難でしたね。一体、どんな臭いなのでしょうか。

小泉 魚の腐った臭いに加えて、銀杏を踏み潰した臭いや、硫黄系の臭い、人間の便の臭い、くさやの漬け汁のような臭いが一緒くたになっています。食べると舌がピリピリして、臭気が鼻から突き抜ける。

東京工業大学の先生が開発した、アラバスターという臭いを計測する機械で測っても、そのクサさはあらゆる食べ物の中で断トツで、納豆の30倍でした。

地球上で最も危険な催涙性食物

小泉 ところで、高野さんは、納豆のルーツを探って本をお書きになりましたね。

高野 ミャンマーとインドの国境辺りに、ナガ族という民族がいます。彼らは本当に納豆ばかり食べていて、1ヵ月以上熟成した納豆を作っている。味はまろやかで、蒸留酒を寝かせたようです。

小泉 大豆のたんぱく質が分解され、旨味のアミノ酸になっているわけだから、美味しいでしょう。

高野 ただ、そこにはもっとすごい超熟納豆があります。口に入れた瞬間はあまり臭わないのですが、飲みこんだらキーンと脳天を突き抜けるようなアンモニアの臭いに襲われました。

小泉 アンモニア臭といえば、韓国にホンオフェという催涙性発酵食品があります。エイを壺に入れて発酵させたものですが、刺身を口に入れて深呼吸すると、涙が出てきてクラクラする。韓国では「100人中98人が気絶寸前になり、2人が死亡寸前になる」と言われています。地球上で最も危険な催涙性の食べ物はホンオフェですよ。

 

高野 強烈なクサみではないですが、独特の風味があったのが、コンゴで食べたサル肉です。

小泉 サルの脳みそは食べたことがあるけれど、肉はないなぁ。どうやって食べるのですか。

高野 捕ってきたサルを焼いて毛を毟り取り、肉をブツ切りにして煮込むだけのシンプルな調理法です。煮ると白い肉になって、鶏肉のような見た目です。湿った獣臭といいますか、サル臭くて最初は慣れないのですが、何度か食べているうちに平気になります。

コンゴ国内を小さなバスで移動している際、サルの燻製肉が回ってきたことがありました。乗客の誰かが持ち込んで、皆で一口ずつ食べて回していた。僕も齧り付いたら、大ウケしていました。

小泉 外国人が食べるとは思っていなかったんだろうね。

大半の日本人が敬遠しそうな食べ物でも美味しいものはありますよ。

たとえばミャンマーで食べた虫ラーメンは美味しかったなぁ。スープに蛆虫によく似たカメムシの幼虫が浮いているのですが、カメムシって成虫になると臭いけど幼虫は全然臭くなくて、脂がのってうまいんです。

高野 幼虫は貴重なたんぱく源ですし、味も申し分ないですよね。成虫で美味しかったのが、タイで食べたタガメの和え物です。僕が食べたのはタイ南部の食べ方で、タガメの肉だけを取り、ニンニクや他の調味料と合わせて突く。そこにンガピというエビや小魚を発酵させたものを混ぜ合わせると、ものすごくご飯に合うんです。いわばタイの「ままかり」ですね。