世界経済 中国
中国経済が抱える「重大問題」〜人民元「国際通貨化」のウラ側
「お墨付きを得た」とマスコミは報じるが…

人民元は形だけの国際通貨

10月1日、人民元がIMF(国際通貨基金)の定める準備通貨・SDR(特別引き出し権)のひとつとして採用された。これにより、人民元が「国際通貨」の仲間入りを果たす「お墨付き」を得たと報じるメディアがあるが、実はそう単純な話ではない。

この話のウラには、中国経済が抱える「重大問題」が隠されている。

そのことを理解するには、まず、人民元の動向は中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)の動きとセットであるということを押さえておく必要がある。

というのも、中国が目論むのは、AIIBを通じてアジア各国にインフラ投資の実績を残すこと。そして人民元をアジア各国に広め、国際金融市場で存在感を高めることで、人民元の国際通貨化を実現させようとしている。

そんな鳴り物入りで'15年にスタートしたAIIBだが、これまでの実績は4つの事業に対して融資額が5億900万ドル(約500億円)。これは国際金融機関としてはあまりに「少額」だ。

〔PHOTO〕gettyimages

この程度の融資に留まっている原因は国の「信用力」にある。AIIBは、参加国から募った出資金と、国際金融市場で発行した債券で原資を調達し、貸し付けを行っている。

このとき最大の出資国である中国の信用力が反映されるが、それは日本などと比較すると依然として低い。そのため、AIIBの債券は国際金融機関としては異例の「格付けなし」の状態に陥っている。

だから、AIIBの貸出レートは、日米が後ろ盾になっているADB(アジア開発銀行)の貸出レートより1%も「割高」。アジア経済を支援するために設立された金融機関が、逆に余計な「負担」を掛けてしまっている。そんなことでは人民元をアジアに広げることすらままならないというわけだ。

しかも、仮にAIIBが軌道に乗っても、人民元が国際通貨になることは当面ないという点も強調しておきたい。その理由は、中国がいまだに「一党独裁体制」を取っているからに他ならない。

 
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