電力 自動車
脱原発に続いてガソリン車「廃絶」へ!? ドイツの政策は矛盾だらけ
いくらなんでも現実性が…

シュピーゲル誌のスクープ

「2030年以降は、自家用のガソリン車とディーゼル車の新規登録は中止する」という方針を、ドイツの連邦参議院が超党派で表明したそうだ。既成の内燃機関への“死刑宣告”である。

ドイツは連邦共和国であり、各州の権限が大きい。その各州の代表で構成されているのが連邦参議院で、そもそもは、各州が自分たちの利益を主張するため、あるいは、州レベルで団結して連邦政府に対抗するための仕組みとなっている。

つまり、連邦参議院がガソリン車とディーゼル車の将来的な廃止を推し進めるなどということは、これまでの例から言えば、かなり突拍子も無いことだ。

この決定はすでに9月23日になされており、聞くところによれば、ドイツだけでなく、「EU全体でのガソリン車とディーゼル車の廃止」、そして「電気自動車の普及」が目標らしい。

いずれにしても、現在のEUでは、自国のことを自国で決めることが難しくなっており、連邦参議院はこの案を、EUの該当機関に提出したそうだ。それが書類の山に紛れてそのままになっていたのをシュピーゲル誌が掘り出し、10月9日、特ダネとして報道した。もちろん、ドイツは大騒ぎになった。

ただ、この過激な案は、参議院の全会一致で決まったわけではない。有力州であるバイエルン州、およびバーデン=ヴュルテンベルク州の州首相は、反対意見を表明している。

 

バーデン=ヴュルテンベルクは、現在、ドイツ史上唯一無二、緑の党の州首相を担ぐ州だが、メルセデスとポルシェの本社があり、自動車産業が突出している。いくら緑の党といえども、電気自動車への急激なシフト案に賛同するなどということはありえない。

コメントを求められた連邦の交通大臣も、「2030年という日時が非常に非現実的であり、馬鹿げている」と言い切った。

一方、面白いことに、フォルクスワーゲン社のふるさとで、これまで同社の成功とともに生きてきたニーダーザクセン州(SPD・社民党が州首相)は、今回、ガソリン車を葬るこの案に賛成したという。排気ガスをごまかす不正ソフト事件以来、多大な経済的被害を受けているため、かなりやけくそになっているのだろうか。

ただ、傾きかけているフォルクスワーゲン社が、電気自動車に切り替えてすばやく復活できるとも思えない。いや、そもそも、電気自動車の急速な発展の可能性自体が、今のところ、かなり不透明である。

〔PHOTO〕gettyimages
この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら