企業・経営

ニトリ、生え抜きの社長が牽引する「お、ねだん以上」の店づくり

変わり続けることへのこだわり
ニトリホールディングス社長の白井俊之氏

日本・米国などに約400店舗を構える家具インテリアチェーン・ニトリ。'16年1月、名物社長・似鳥昭雄氏は「退任じゃない。死ぬまで現役だ」との名言とともに会長へ就任を発表。新社長には生え抜きの白井俊之氏(60歳)を指名、29期連続増収増益を記録する自社の舵取りを任せた。白井氏は「似鳥に怒られた回数も、減俸の回数も私が社内一です」と苦笑する気さくな人物。その素顔に迫った。

* * *

社員が「凶器」と恐れるあるもの

朝令朝改

私が社長に指名されたのは、似鳥と一緒にいる時間が長く、性格も似ているからだと思います。

たとえば似鳥も私も「朝令暮改」ならぬ「朝令朝改」もよしとします。お客様が望む品揃えもサービスも変化し続けるもの。ならば、一度「こうしよう」と伝えたあとでも、違和感があったら、すぐに変えたほうがいい――そんな価値観を共有しています。

あとは、私が上司の立場でものを考えてきたからかもしれません。似鳥はよく「悪いことから先に報告せよ」と言っていました。たしかに上司の立場で考えればそうすべきです。もっとも、私はその通りにし、しょっちゅう怒られましたが(苦笑)。

でもそのなかで、いつしか経営者の視点で物事を考えるようになっていたのです。

思い出の雪

就職活動中、人材募集の案内を見ていたら「完成されたものほど、つまらないものはない」というコピーが目に入りました。読めば北海道の家具店が「日本一になる」とのこと。「面白い!」と思い、入社を決めました。

「もしや自分たちが頑張って日本一にしなければならないのか?」と気付いたのは入社後のこと。仕事は大変で、家具の配達は夜中までかかり、雪で車が動かなくなり、さらに雪が積もって……と泣きたくなるような思い出がいくつもあります。

もちろん、現場で汗を流してきたから、店舗からの報告を聞けばすぐ状況判断でき、振り返ればメリットもありました。ですが、当時はただただ大変でした。

凶器

月に4~5日は全国のお店を回ります。仮に本部に「この商品が売れている」というデータが来ても、お客様はご不満がありつつ購入している可能性もある。現場で起きていることを知らなければ、展示も品揃えも最適かどうかわからないのです。

当社には、売り場のバーコードを読み取ると、いつ、いくつ売れたかわかる機械があります。社員の一部は、これを「凶器」と呼んでいます。私に持たせると「現状は本当に、お客様が納得する品揃え・陳列なのか?」と迫られるから「社長にこれを持たせると大変だぞ」というわけです(笑)。

お店に行くと、現場スタッフとの懇親会も開きます。ニトリという会社で何を実現したいか、そのロマンとビジョンを、上からの押しつけでなく、自分の言葉で話せる人材を育成したいからです。

 
この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら