金融・投資・マーケット
戦後最大の経済事件の内幕を張本人が綴る『住友銀行秘史』がスゴい!
約四半世紀を経て、衝撃の事実が…

戦後最大級の経済事件

國重惇史氏の『住友銀行秘史』は「凄い本」だ。発売から1週間で10万部を突破したと聞くが、それも納得である。

想像していただきたい。メガバンクのエリート行員が、銀行の幹部が深く関わる悪事に気づき、これを事細かに記録するかたわら、銀行を救うために自ら内部告発を行った。そして、当時の記憶と記録とを、その本人が一冊にまとめ上げた。

悪事とは「イトマン事件」のことだ。

住友銀行から社長が派遣されていた中堅商社イトマンを通じて、バブルの時代を舞台に不動産や絵画などに対して裏社会に流れたものも含めて不適切なカネの流れが発生し、住友銀行は泥沼に嵌まった。

著者によると、同事件は住友銀行に約5千億円の損失をもたらした。戦後最大級の経済事件だと言える。

著者は、後に住友銀行の取締役になった人物だが、これまで彼が内部告発を行った当人であったことは一切明かされていなかったし、彼が克明に残したメモもおそらくは墓場まで持って行くつもりの記録だっただろう。

元銀行員が書いた小説は少なくないが、本書は、金融界や銀行員を題材にした凡百の小説とは、スケールと迫力が違う。何と言っても実話なのだ。直接内部告発に関わった当事者が著者なのである。あえて名前を挙げた比較はしないが、世間でよく読まれている銀行小説、金融小説の100倍は凄いと申し上げておく。

銀行というビジネス・組織を深く理解したい現役の銀行員、就職先として銀行を考える学生、加えて、日本の「組織」「世間」「官庁」「マスコミ」などについて深く理解したい人には、本書を複数回読み込むことを薦めたい(複数回の理由は後述)。

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