あのとき、我々もまた「キツネ目の男」だった
古賀史健が綴る、小説『罪の声』の魅力

語られつくした未解決事件、だが

気鋭のライター・古賀史健氏が、グリコ・森永事件を題材にした小説『罪の声』を強く薦める理由とは?

忘れようにも忘れられない、時代の顔がある。ある世代にとってのそれは、三億円事件の白バイ隊員であり、ある世代にとってのそれは、グリコ・森永事件の「キツネ目の男」だろう。1985年、突如ブラウン管に映し出された鉛筆画の肖像。表情を失ったその「怪人」の異様なる相貌は、当時の日本人に言い知れない恐怖を植えつけた。

グリコ・森永事件。語られ尽くした未解決事件である。事件の「真説」を標榜するノンフィクションは、これまでたくさん読んできた。しかし『罪の声』(塩田武士)は、純然たるフィクションでありながら、数多のノンフィクションを凌ぐリアリティをもって、同事件に迫っていく。

(写真/講談社資料室)

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