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ポイント還元は無駄遣い? 「おトク」に騙されない方法教えます!
この世は巧妙なワナだらけ

「お金が貯まる人と貯まらない人の違いって、なんですか?」

消費経済ジャーナリストとして私が取材を受ける時、このように聞かれることがよくあります。

お金が貯まる人と貯まらない人の違いは、「貯め方」ではなく「使い方」。貯まらないと嘆いている多くの人の使い方には、お金が「漏れていく」穴があるのです。

特に「おトク」が大好きな人。おトク、割引、ポイント倍増などというキーワードにつられて、ついサイフを開いています。

私は長年、主婦誌やマネー誌の編集者として、お金を貯める達人や、逆に赤字家計に悩む読者の取材をしてきました。中でも、節約テクの記事は何度も担当し、自分自身でも実践してみたものです。しかし、ある時から、「これって本当に節約になっている?」と思うようになってきたことがあります。

 

節約好きこそ、実はムダ遣いをしている!

例えば、食費節約の定番であるまとめ買い、ポイントアップデーや5%オフデーでの集中買い、なんでもクレジットカード払いにしてポイントを貯める、ネットショッピングでのストック買い、などなど。

多分、これらを「おトクな買い方」と思っている人も多いのではないでしょうか? しかし、それは「ムダ遣い」と紙一重なのです。

経験的にそう感じてきた私が、「やはりそうだったのか!」と腑に落ちたのは、ある経済理論に出会った時でした。

それは「行動経済学」というもので、ダニエル・カーネマンという心理学者が提唱したプロスペクト理論が、2002年にノーベル経済学賞を受賞したことから研究が広まった、まだ新しい分野です。

行動経済学がどんなことを扱っているのか、ごく簡単に言うと、「人は損をすることを異様に嫌う。そのためできるだけ損を避けようとして行動する」ということ。

従来、人間は合理的な行動をとるものと考えられてきたのですが、実は気分や感情に左右され、損につながるような不合理な選択をしてしまうのだというのです。

カーネマンのプロスペクト理論では、私たちが1万円トクした嬉しさよりも、1万円損した痛みのほうをより強く感じるということを分析しています。この、「とにかく損をしたくない」という心理・感情が、逆にトクではない行動をさせてしまう――と言われると、ドキッとしませんか?

そのほうがトクだと思い込んでしていた買い物や選択が、果たして正しかったのか。

そういう目で見ると、1円でもトクしたい、安く買いたい、どんどんポイントを貯めたい――そんな節約好きの人こそ、知らないうちに手元のお金がダラダラ漏れているのかもしれません。

節約好きこそ、見せかけのトクにつられて、本当に必要ではないものまで買ってしまう。私はこれを「おトクのワナ」と呼んでいます。このワナにはまると、お金の漏れはどんどん拡大していきます。

「節約のつもりがムダ遣い」という消費行動が、貯まらない原因の一つだと覚えておいてください。