野球
巨人・坂本勇人「ショートで首位打者」はプロ野球史上3人目の快挙!
なんとセ・リーグでは初
〔PHOTO〕gettyimages

セ・リーグ初の快挙

巨人の坂本勇人選手が打率3割4分4厘で自身初の首位打者に輝きました。周知のようにショートでの首位打者は、セ・リーグ初の快挙です。

もっともパ・リーグでもショートのポジションで首位打者に輝いた選手は豊田泰光さん(1956年)、千葉ロッテ時代の西岡剛(2010年)の2人しかいません。

ショートは内野の中でも、最も運動量の多いポジションです。守備の要としての役割をこなしながら、首位打者を獲るのは並大抵のことではありません。

今は亡き豊田さんが、首位打者に輝いたのは入団4年目の1956年です。打率3割2分5厘。同僚の中西太さんの打率をわずか5毛上回りました。

年齢的には中西さんの方が、2学年上ですが、豊田さんは中西さんに対し、激しいライバル意識を燃やしていました。それを案じた監督の三原修さんが、最終戦を前に2人を休養させ、結果として中西さんがホームラン王と打点王、豊田さんが首位打者とタイトルを分け合いました。

一度、遠まわしにこの時のことを豊田さんに聞いたことがあります。豊田さんは首位打者というタイトルにひとかたならぬプライドと愛情を持っていました。

「首位打者を獲るのがいかに難しいか。あのベーブ・ルースだってルー・ゲーリッグだって1回しか獲っていないんだよ」

それを聞いて調べると、確かに豊田さんの言うとおりでした。いわゆる打撃三部門にしぼっていうと、ルースはホームラン王に12度、打点王に6度、ゲーリッグはホームラン王に3度、打点王に5度、輝いていますが、首位打者はともに1度しかありません。

 

藤田平はファーストでの戴冠

もちろん強打者の尺度は打率だけでは測れません。「記録の神様」と呼ばれた宇佐美徹也さんは長打率に注目すべきだと主張し、「できれば強打率と呼びたい」と語っていました。

最近では出塁率と長打率を足し合わせたOPSを重視する傾向が強まっています。これをモノサシにすると、日本における最強打者は王貞治さんになります。

話をショートでの首位打者に戻しましょう。オールドファンの中には「阪神の藤田平がいるじゃないか」と思われる方もいるでしょう。

81年、藤田さんは打率3割5分8厘で自身初の首位打者に輝きました。しかし、この時のポジションはファーストでした。

ショートで3度のゴールデングラブ賞に輝いた藤田さんですが、78年の後半からファーストを守ることが多くなり、79年には太ももの肉離れを起こしました。それが原因で、このシーズンは、わずか18試合しか出場していません。それもあって、81年は首位打者とともにカムバック賞に輝きました。

若き日の藤田さんはクールな風貌ながら、巧打にして好守、センスのかたまりのような選手でした。本音ではショートを守っている時代に首位打者を獲りたかったかもしれません。