人口・少子高齢化 経済・財政
役所は教えてくれない、60代から「減らせる税金」「増やせる年金」
老後を乗り切るお金の「裏ワザ」

長生きすることが幸せと同時に「リスク」にもなってきた今の時代。せっかくの長寿を、おカネに苦労せず乗り切るための裏ワザを紹介。

年金が月額4割増える

いまや人生100年の時代。60代でリタイアしたら、あとは悠々自適の余生を送れると思っていたものが、その余生が20年、30年と続いていくとなれば話は別だ。

年金もいざ金額を見れば、期待していたほどの額ではない。夢のマイホームも古びて修繕が必要になり、毎年バカにならない固定資産税を払わなければならない。2年に1回の10万円近い車検費用にも気が重い。よくよく計算してみれば、家計の収支は赤字。このままでは90歳になる前に、貯蓄も底をつく。何と我が家も老後破産か――

そんな溜め息をついている人は多いだろう。実際、現在、生活保護を受給している約163万5000世帯の約50%は65歳以上の高齢世帯だ。

そうした事態を避けるために、できることは何か。税金を減らしたり、年金の受取額を増やしたりできる「裏ワザ」を紹介する。

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ファイナンシャルプランナー(FP)の横川由理氏は、こう提案する。

「60代で、いわゆるリタイア世代になっても、心身ともに健康で、まだ働けるという方にお勧めしたいのが、年金の繰り下げ受給です」

「繰り下げ受給」は、国民年金(老齢基礎年金)、厚生年金(老齢厚生年金)のいずれにもある制度。年金の支給開始年齢である65歳以降70歳までの5年間は、受け取り開始を1ヵ月遅らせるごとに、年金額が0.7%増える。横川氏が続ける。

「70歳まで年金を受け取らず、働いて生活することができれば、支払日ごとに受け取る年金額は最大約42%増となります。途中で『体力的にもう働くのは難しい』となれば、申請して年金を受け取り始めることもできますから、無理せず誰でも取り組める方法です」

さらに、繰り下げ受給は国民年金だけ、厚生年金だけと、それぞれ別々に利用することもできるので、70歳までは国民年金+給与、70歳からはさらに厚生年金を約4割増しにして楽に生活する、といった選択も可能だ。

「累計の金額で見るなら、受け取り開始を遅くした分、65歳からもらった人より損をしてしまうように思えるかもしれません。けれども、支給日ごとに受け取る金額が4割増しになれば、たとえば介護施設などに入居することになっても利用料の支払いなど安心な面が多いと思います」(横川氏)

夫が20年以上厚生年金を掛けていて、かつ共働き期間が長い夫婦の場合は、年金で「損をしない」ためのポイントがある。社会保険労務士(社労士)でFPの岩田健一氏は、こう話す。

「妻が65歳になるまでは、『加給年金』といって、年39万100円が夫の厚生年金に加算されます。ところが、妻が厚生年金の掛け金を20年以上支払ってしまうと加給年金は支給されません。

主に、夫が年上で、妻が65歳になる前に夫が厚生年金の受給を始める場合、注意が必要です」

たとえば、夫が64歳で妻が62歳になったばかりの夫婦を考えてみよう。妻がこれまで厚生年金を掛けながら19年11ヵ月働いてきたとする。

「その状況で、あと1ヵ月分の掛け金を払ってしまうと、夫が65歳になって以降、2年間、受け取れたはずの加算分が手に入らなくなってしまうのです」(岩田氏)

一方、こんな場合は、妻が20年以上厚生年金を掛けても加給年金が受け取れるという。

「それは、夫が年金の受給を初めたあとに妻が20年目の掛け金を払った場合です。加給年金がもらえるかの判定は、夫が年金の受給を始めた時点で行われ、一度支給が開始されると、今度は妻が65歳になるか、自分の厚生年金の受給を始めるまで続くのです」(岩田氏)

ちなみに、たとえば加給年金がもらえる夫婦で、夫が年金受給開始を繰り下げると、受給開始後にその分の加給年金が受け取れる。ただし加給年金部分は、繰り下げても金額が増えることはない。

 

ところで、年金には思いがけない変わり種の裏ワザもある。社労士の佐藤敦規氏はこう話す。

「使える人はごく少数ですが、日本企業でもフランスやベルギーなど海外の支店で働いた経験のある人は、その国の年金ももらえることがあるんです。フランスなどは滞在期間が最短3ヵ月からOK。5~6年の滞在だと年100万円程度を一生もらえることもあります」