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ジャニーズ事務所はなぜSMAPを潰したのか

「ザ芸能界 TVが映さない真実」第1回 
田崎 健太 プロフィール

姉と弟の役割分担

以下は現場でジャニーと一緒に仕事をした人間の証言だ。

「コンサートの初日にジャニーさんが来て、演出の音源について『You、これダメだからさ、明日までにやり直して』と、曲の長さとかタイミングとか、最終ダメ出しをしてくる。ゲネプロで明日が本番というときに直しが入ると、徹夜になってしまう。初日がスタートしたあとに、すぐ直せなんてこともありました」

みなが従うのは、彼の言葉に説得力があるからだ。

「ジャニーさんはアイデアマンだし、ブロードウェイのミュージカルまで勉強している。現場に行けなくても、ジャニーズ事務所に所属するグループやタレントのライブは全部録画して見ているはずです。本当にいつ寝ているんだろうと思います。彼の口癖は『寝るのがもったいない』ですから」

職人肌のジャニーが、いわばジャニーズ事務所のクリエイティブな面を一手に担っているとするならば、ビジネスマンとして、経営の一切を取り仕切っているのが姉のメリーである。いわば両者は、車の両輪ということになる。

メリーとジャニーは、姉弟でもずいぶん性格が違う。メリーは派手好きで関係者と高級レストランで食事している姿をしばしば目撃されている。

彼女が得意とするのは、交渉である。SMAPの解散騒動が巻き起こって以来、「メリーは出演者をめぐってテレビ局側に圧力をかけている」という認識が広がっている。これが事実かどうか、前出の元テレビ局幹部に尋ねた。

「メリーさんは、ジャニーズのライバルのタレントを『使うな』とは言いません。『どうぞ使ってください。ただし、うちは出ませんから』と言うんです。しかし局からすれば、それが一番厳しい。ぼくが直接言われたことはありませんが」

もっとも、ある番組でそのようなことがあったからといって、他の番組からもタレントを引き上げてしまうようなことはないという。

「力がないプロデューサーはそう言われると勝手にビビッてしまう。今後、協力してもらえなくなるんじゃないかと」

ジャニーズタレントの楽曲に関しても、テレビドラマの主題歌として使われるときには、テレビ局との交渉が不可欠となる。ジャニーズ事務所とのビジネスに関わっていた、レコード会社関係者が言う。

「現在は、大手芸能事務所はほとんどが楽曲の原盤を管理し、自前の音楽出版社も持っています。ジャニーズの場合も、楽曲の権利はほぼ100%自分で持っている。

一方で、テレビ局各局も自前の音楽出版社を持っています。ドラマの主題歌などで楽曲を使う場合は、楽曲の出版権を芸能事務所側とテレビ局側で折半するわけです。そこに力関係が発生する。

テレビ局側もジャニーズの曲を使いたい。そこで話し合いがもたれるのですが、ジャニーズ側が出版権の一部をテレビ局に渡した形をとっていても、その内訳は外からは分からないのです。折半といっても、もしかしたらジャニーズが9でテレビ局が1かもしれない」

 

元日本テレビ社長の萩原敏雄は、バラエティ番組の草創期からジャニーズ事務所を見てきた。萩原はジャニーとメリーの二人をこう評する。

「ジャニーさんが出演交渉などで動くことはまずないんです。あの人も一つのタレント(才能)なんです。そのジャニーさんのタレントを生かして、大きくしたのがメリーさんでした」

萩原によると、日本テレビ会長を務めた氏家齊一郎はメリーの経営手腕を高く評価していたという。

「氏家さんは元々読売新聞経済部出身で、芸能界とは無縁だった。先入観のなかった氏家さんは、経営者としてメリーさんのことを芸能界で一番買っていたようだった」

その上でこう付け加える。

「ジャニーズはテレビ局に圧力をかけるなんて言われていますが、ぼくの経験では一度もないですよ。(競合する事務所のタレントを使って)嫌みを言われたこともない。メリーさんはそんな馬鹿なことをしない人です」

何をもって「圧力」と言うかは難しい。多くのタレントを擁し、高い視聴率が見込める、つまり「数字を持っている」ジャニーズ事務所が、テレビ局に対して大きな発言力を持っていることは否定できない。