ダイエット
男がダイエットに宿命的に向いていない、その理由
痩せてもあなたの好感度は上がりません
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男が激太りする時

ベストセラー『されど“服”で人生は変わる』の著者・齋藤薫さんが初めて男について書いた新刊『されど‟男”は愛おしい』が話題だ。本作の中から「男の激太り」について触れたエッセイを特別公開する。

女には生まれながらに〝太ってはいけない〟という暗黙のルールがあるから、女が〝激太り〟したような時には、失恋したのか、挫折したのかと、世間はすぐそれを不幸な出来事と直結させ、そこにひそむ可哀想な理由をあれこれ執拗に詮索する。

しかし、男の場合は少し意味が違う。男の激太りは、あくまで本人の心や体や生き方の偏りに原因がありそうだからと、〝弱々しさ〟か〝ふてぶてしさ〟かを疑われることになる。

学生時代は痩せていたのに30代までに激しく太ってしまった男には、オタク化している人が少なくない。基本的に運動はせずに、室内でひとつのことに没頭する。

リアルな恋愛はせず、アニメやメイドカフェでの仮想恋愛。人付き合いもあまりせず、名前を知らない者同士、「オタクは?」「オタクも?」の関係で済ます。人と一緒に食事をしないから、食事も偏っていく。

もちろん、深夜残業が続く仕事や並外れてストレスの多い仕事についただけで、人は立ち所に太っていきがちだが、オタクが太りやすい原因は他にある。社会性や協調性、そして客観性を自ら放棄すること。

そこには2つのタイプがあって、極端な話、ニートとIT長者に象徴されるように、片や社会と関わるのが苦手だから、家にいる弱々しい人。片やどっちを向いても自分の天下という、ふてぶてしい人。〝秒速で10億円稼ぐ〟と書いたあの人のように、頭だけで成功したから自信満々で理屈っぽい。いや、理屈っぽいのはニートも一緒で、仕事をしない大義名分など立派なもの。

ところがどちらのタイプも〝人にどう見られるか〟という意識が薄い。だから太っていきがちなのだ。男の場合は社会性が体重の歯止めになるからで、アメリカでは太っているとまず出世できないと言われるのもそれがため。

もちろん、生まれつき太っている向きは別。それはキャラとして体にしみついているもの。脂肪がもともともっている善人イメージだけで生きていける。しかし後天的な肉づきは、偏屈なイメージがダブるせいかどうしても世間と距離を生んでしまう。だから男も途中で太ると損をするのだ。

そこで提案。激太りした時、世間の関心をかわしたいなら、幸せそうに笑うといい。にこにこと人が良さそうに。デブが笑えば非の打ちどころのない善人に見えるが、笑わないといささか悪意ある者に見えてしまう。余分な肉自体が後ろ向きな性格を連想させてしまう。だからできるなら笑いたい。