北朝鮮
「金正恩の料理人」藤本健二氏がもらした“将軍様”の胸の内
本当は核実験なんかしたくない?

北朝鮮が9月9日に、5度目の、そして今年2度目の核実験を強行して以降、朝鮮半島を巡る周辺諸国の動きが慌ただしくなっている。国連安保理による新たな制裁も、アメリカと中国の間で、水面下で連日、調整が続いているが、まもなく全会一致で可決される見込みだ。

そんな中、金正恩委員長(32歳)の幼少期からの「遊び友達」で、「金正日の料理人」として知られる藤本健二氏(69歳)が、渦中の平壌に、再び渡った。藤本氏は何を目指すのか、そして恫喝外交をエスカレートさせる金正恩委員長は何を考え、藤本氏に何を期待しているのか。

平壌へ赴く藤本氏が、経由先の北京で4時間にわたって、熱い想いを私に吐露した――。

このインタビューは今年8月に北京で行ったが、藤本氏の意向で今週掲載する

長年の夢がいよいよ実現

近藤: 振り返れば、「金正日の料理人」を長く務めた藤本さんが、北朝鮮から帰国したのが2001年4月。帰国してまもなくしてからインタビューさせてもらい、これまでもう50回くらいは話を聞いてきました。今回の訪朝で、今年に入って3回目、2001年に帰国してからは4回目となりますね。

2012年7月、藤本さんは11年ぶりに訪朝を果たし、金正恩・李雪主夫人らと会食して、日本に衝撃を与えた。そして、その直前に平壌で長男が怪死する事件が起こったが、同じく平壌在住の奥さん(元国民的歌手の厳正女さん、48歳)及びお嬢さん(平壌の会計学校を卒業した厳正美さん、24歳)とも再会した。

だがその後、また4年近い冷却期間があって、今年の4月に再訪朝。この時は、翌月に控えた朝鮮労働党大会の準備で忙しい金正恩委員長と会食した。続いて、5月末に再び訪朝したが、この時は金正恩委員長との会食はセッティングされなかった。

藤本: そうだな。人生、紆余曲折あったよ。オレももう来年で、70歳だ。

近藤: 今回の訪朝に持参するのは、ここにある大きなトランクが3つ。以前の2回と較べて、随分と荷物が増えましたね。

藤本: そうそう。これ3つで、100㎏近くになるんだよ。羽田空港から北京まで持ってくるので、大変だった。

近藤: 中には一体、何が入っているんですか?

藤本: 開けてもいいよ。オレにとって大事なものが、一杯詰まってるから。

(3つのトランクを開けさせてもらう)

近藤: ほとんど全部、食材じゃないですか。醤油1リットル、酢1リットル、みりん1リットル、塩1㎏、味の素1㎏、昆布だし、海苔・・・。

藤本: この包丁は、4本で15万円もしたんだぜ。プロの寿司職人用包丁。

近藤: こんなに多くの食材を平壌に持ち運ぶのって、国連安保理の経済制裁決議違反じゃないんですか。今年の3月2日、国連安保理は、かつてない規模のヒト・モノ・カネを遮断する経済制裁を、北朝鮮に科したじゃないですか。もちろん日本政府も、この決議に賛成しています。

藤本: バカなこと言うなよ。何が制裁だ。平壌は制裁前よりずっと、モノが溢れてるよ。中国から何でも入ってくるからな。それに制裁には、生活用品は除外するって書いてあるだろう。これらは皆、生活用品じゃないか。

近藤: それはそうですね。でも、こんなに多くの食材を平壌に運んで、奥さんとお嬢さんを喜ばせるつもりですか?

藤本: まあ、それもあるがな。でも、いくつかの食材には、「業務用」って書いてあるだろ。これらの食材は、業務用なんだよ。

近藤: 業務用?

藤本: そう。何度も言うけど、オレは来年70歳だからな。長年の夢を、いよいよ実現するのさ。

近藤: 長年の夢って、いつも言ってる平壌に日本料理店を開くという・・・。

藤本: そうだよ。ついに時が来たってわけさ。平壌に、オレの店をオープンさせるんだ。

近藤: その話、詳しく教えてもらえませんか?

藤本: 教えてもいいけど、ギャラ高いよ(笑)。

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