エネルギー
石油減産の裏に見え隠れする「時価総額220兆円」石油会社の思惑
産油国の「協調」は本当に成り立つのか

9月28日、アルジェリアで開かれた臨時総会にて、石油輸出国機構(OPEC)は石油生産の削減目標を加盟国間で共有し、1日当たりの生産量を現在の3324万バレルから、3250万~3300万バレルに制限するとの減産に合意した。

金融市場はこの決定を好感し、原油先物価格は一時6%程度急伸、米国を中心にエネルギー関連企業の株価も上昇した。

プレスリリースを見ると、OPEC加盟国はロシアなどの非加盟国にも呼び掛けて、具体的な減産目標の策定を進める。その上で、11月の総会で国別に生産量等が決められる予定だ。

これを受けて、サウジアラビアがOPEC内の利害をまとめ、世界の原油供給の調整が進むとの見方もある。ただ、プレスリリースの中に“合意”との記載はない。今後、産油国の協調がどう進むかは慎重に考えるべきだ。

産油国経済、低迷中

2014年年央、1バレルあたり100ドルを超えていた原油価格は中国の需要低下などに圧され、2016年2月には26ドル台まで下落した。そうした状況下、産油国は財政悪化への対応策として、政府傘下のソブリンウェルスファンドが保有する株式を売却し、資金の捻出を余儀なくされた。これが、2015年秋口以降の世界的な株価下落の一因になったと見られている。

2016年半ば、一時、1バレルあたり50ドル台まで原油価格が持ち直す場面もあったが、それでも産油国の置かれた状況は厳しいことに変わりはない。産油国のリーダー格とみられてきたサウジアラビアでさえ、公務員賞与の取りやめ、閣僚の減給を決定し、歳出の削減を優先している。

この状況を改善するには、産油国が減産を進め、原油価格に上昇圧力をかけることが必要だ。

【PHOTO】gettyimages

しかし、産油国の利害は簡単に調整することはできない。

財政破綻寸前の状況にあるベネズエラが減産を求める一方、イランやリビアは増産を主張してきた。その状況の中で、サウジアラビアを中心にOPEC加盟国が減産に合意したとしても、イランなどが生産回復を優先して抜け駆けを図る可能性がある。そうなると、減産への合意は不利だ。こうしてOPEC加盟国は生産量を据え置いてきた。

9月下旬にはサウジアラビアの中央銀行が、銀行システムに流動性支援措置を実施するなど状況は依然として厳しい。一方、米国で想定よりも早くシェールオイルの生産が回復していることもあり、原油の需給バランスは不安定だ。

今後の世界経済の動向次第では、再度、原油価格が下落する恐れもある。そのため、OPECは11月の総会で減産への合意をまとめる道筋を作る必要に迫られたといえる。

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