東京都
チーム小池百合子、次なる標的は「都庁役人の天下り」
腐っているのは地下水だけじゃない

東京ビッグサイト、はとバス、東京ガス、関東学院大、東京都医師会ほか'15年の天下りリストを実名公開

豊洲新市場の「炎上」が冷めやらぬ中、都知事とその腹心たちの目は、もう次のターゲットに向いている。役人たちが首をすくめてやり過ごそうとしていた、東京都庁の最強で最大のタブーへと。

年収1000万円超で再就職

「都知事は、『都の職員の給与には手を付けない』と断言しています。しかし、その一方で自分の給与は半額までカットしている。これはつまり、『あなた方の給料を下げるつもりはない。しかしこれから、税金の無駄遣いの筆頭格である天下りのほうには、斬り込ませてもらう』という、いわば都職員への宣戦布告です。

豊洲の新市場の問題では『粛正する』とまで言った。豊洲が片付いたら、小池さんは真っ先に天下り潰しにとりかかるでしょう」(ベテラン都議)

新宿副都心にそびえ立つ、鈍い銀色のツイン・タワー。その住人たちがいま、荒れ狂う台風よりも強力な嵐の予感に、戦々恐々としている。

〔PHOTO〕gettyimages

東京都庁に乗り込んだ小池百合子都知事率いる「チーム小池」がまず標的に定めた、豊洲新市場の体たらくは改めて説明するまでもない。建物の下にぽっかり空いた謎の空間に、腐ったような汚水がたまっている光景は、都民だけでなく全国民を唖然とさせた。築地市場移転どころの騒ぎではない。

豊洲はいわば、東京都という伏魔殿のシンボルであり縮図だ。誰がOKを出したのか分からない「ブラックボックス」の中で万事が決まり、しめしめと密かに笑う者がいるのは、築地市場移転問題だけではない。その最たるものこそ、都庁役人のあいだで連綿と受け継がれてきた伝統——天下りである。

「天下り先は、たとえば都の交通局幹部ならば都営地下鉄、といったようにおおよそ決まっています。ポストは退職時の地位に沿ったもの。給与水準も、若干下がると言われますが、都の局長級ならば給与額は2000万円近いですから、天下り先でも1000万円を下ることはない。

しかも、行き先は1つでは終わらない。2年の任期が終わったら次の天下り先に行く。3つの企業・団体を渡り歩く例も珍しくありません。それでもマシになりました。石原慎太郎都知事時代に撤廃されましたが、昔は全部の天下り先で、それぞれ2000万円も3000万円も退職金をもらっていたんですから」(東京維新の会都議の柳ヶ瀬裕文氏)

裏を返せば、空気を一切読まないワンマンで鳴らした石原都知事でさえ、天下り先での退職金はなくせても、天下りというシステムそのものを完全に潰しきることはできなかった。手強い相手だ。

「小池さんが腹の底でどう考えているかは分かりませんが、都の幹部にとって『給与』というのは、天下り先でもらえる分も含めてのもの。『給与には手を付けない』と言った小池さんが天下りをなくそうと動けば、幹部は怒り狂うでしょうね。

ただ、チーム小池には大阪維新で橋下徹前大阪市長の行革を指南した上山信一氏(慶応義塾大学教授)もいる。都議会は猛反発するでしょうが、小池さんには都民の支持があるし、今や彼女は『出すぎた杭』になったから、そう簡単には打たれない」(前出・ベテラン都議)

あらゆる外郭団体に天下り

では、都庁の役人たちは、具体的にどのような企業・団体へ天下っているのか。2014年下期~2015年上期に「再就職」した幹部職員らの最終役職と行き先のリストを入手し、その中から、主な45人を最後のページにまとめて掲載した。

まず目に付くのは、当たり前のようだが、「東京」の名を冠した企業だ。

東京ビッグサイト、東京ガス、東京国際フォーラム、東京水道サービス、東京都下水道サービス、東京都市開発、東京臨海熱供給、東京エイドセンターなどなど。これらはお察しの通り、東京都と関係の深い企業や第三セクターである。

もちろん、これらの大株主は東京都。天下り後のポストは、局長級で顧問、課長級で部長や専務などとなっている。

「東京国際フォーラムや東京水道サービスは、都の『監理団体』という区分に入っています。これは都が金銭的・人的支援のみならず、全面的な指導監督も行う、一般に『外郭団体』と呼ばれる組織のことです。実は、この外郭団体こそが都政のムダの本丸と目されているんです。

私は以前、都の各局に問い合わせて調べましたが、都庁から各監理団体への特命随意契約(競争入札を行わず、都が任意の団体と契約を結ぶこと)は年間1000億円近くに及んでいると分かった。ここを潰すことができれば、必然的に天下りも減ることになるでしょう」(前出・柳ヶ瀬氏)

東京ビッグサイトや、誰もが知る観光バス大手のはとバス、また前出の東京都市開発、東京熱供給なども、外郭団体の一種とされる「報告団体」に区分される。これは、監理団体に比べて都の影響力は弱いものの、都から継続的に出資を受けている企業・団体のことだ。

東京都がはとバスの全株式のうち4割近くを持っていると聞いて、驚く人も多いだろう。ちなみに、'98年に社長に就任し同社の業績をV字回復させた宮端清次氏、また現社長の中村靖氏は、どちらも都の交通局長を務めた人物である。