アイランドリーグ香川OG「太田と原田はNPB入りの可能性大」

ピッチャー陣の健闘

後期優勝を目指して戦った高知ファイティングドッグスとの最終戦は、惜しくも4-8で敗れてしまいました。この試合で香川オリーブガイナーズが引き分け以上に持っていければ、首位・愛媛マンダリンパイレーツの結果次第で優勝が決まっていたので、非常に悔しいです。

最終戦の先発はウェスリー・エドワーズ。彼をマウンドに送ったのは、ローテの兼ね合いも1つの理由ですが、ここまで安定したピッチングを見せていたからです。結果的は5回3失点。6回から2番手の岸本淳希をマウンドに送りましたが、この回を投げ切れずに3失点。後続のピッチャーも打ち込まれ、これまで抜群の安定感を誇っていたリリーフ陣がことごとく崩されてしまいました。

この試合を振り返ると、どのピッチャーも投げるボールに力がありませんでした。優勝がかかっていたので、「最後だから頑張ろう」と選手たちは意気込んで臨んだ。しかし後期の後半はリリーフの連投が多かったので、肩や体の回復が間に合っていなかったのだと思います。

惜しくも優勝には届きませんでしたが、香川のピッチャー陣は健闘しました。その証拠に、後期の失点は119点と、4球団の中で最もいい数字を残しています。7月に冨田康祐がチームに復帰したことが非常に大きかったです。彼が戻ってきたことでリリーフの層が厚くなりました。冨田、太田圭祐、岸本の後ろの3人が安定していたので、先発陣は長いイニングを投げる必要がなくなり、初回から思いきりよく投げることができたんです。それが、結果的にチームの失点を防ぐことにも繋がりました。

2014年まで横浜DeNAでプレーしていた冨田は打者を威圧するボールを投げます。冨田のボールは回転数が多いので、バッターにとっては打ちにくい。NPBに戻ってもおかしくないようなボールを投げています。実際に戻れるかどうかは、球団との兼ね合いが生じるので何とも言えませんが、将来的にNPBへ戻る可能性は十分あり得ます。

最終戦に先発したエドワーズは、1年間で大きな成長を遂げた選手のひとりです。最初はストライクゾーンに全くボールが入らず、まるで暴れ馬のようでした。それが徐々にストライクゾーンに入るようになり、今ではストライクゾーンの内側と外側に投げ分けられるほどのコントロール力を身に付けました。

今季11セーブを記録した岸本は、リーグ最多の50試合に登板する活躍を見せました。今季から「育成選手派遣制度」で中日からきている岸本は、これまでは全部思いきり投げている印象がありましたが、スライダーを有効的に使えるようになったことが大きかったです。落ちる系のスプリットの精度も上がってきたので、いまのピッチングを維持することができれば、NPB支配下登録も近いと思います。

原田は下半身を強化すべき!

さて、いよいよ今秋のNPBのドラフトまであと1カ月になりました。NPB入りの可能性が高いピッチャーは、前回名前を挙げた太田と原田宥希の2人です。1シーズンを通して、この2人もかなりレベルアップをしました。

コントロールの精度を高めることが課題だった原田は、大人のピッチングができるようになりました。まだ多少、球のバラツキはありますが、悪い時でも試合を壊すほど酷くはならない。球速も少し上がりましたし、春先や去年に比べて安定感があります。防御率2点台をマークし、先発としての役割を十分に果たしてくれました。

しかし、原田は後半にやや失速したので、オフの期間は肉体改造に励んで欲しいです。夏場の失速は下半身の鍛え方が足りなかったことが原因だと考えています。肉体改造をしなければ、また同じことの繰り返しになるでしょう。

一方の太田は、課題だった球威に関してはまだ物足りなさを感じていますが、もともと良かった制球力がさらに磨かれました。また、スライダーの曲がり幅が大きくなり、バッターの近くで変化するようになったんです。彼は横の幅をうまく使えるピッチャーに成長しましたよ。

太田は僕が少しアドバイスをしたことでピッチングの幅が広がりました。彼はもともと右打者に食い込むツーシーム系のボールを投げていましたが、球速が遅かったので、速くて曲がるボールを覚えさせました。この変化球が右バッターだけでなく、左バッターにも有効に使えたのが大きかったです。太田は1年間通じて安定していたので、NPBのスカウトたちに良いアピールができたと思います。

来月からはフェニックスリーグが始まります。まだまだオフシーズンは先ですが、来季に向けて選手たちにはしっかりと鍛え込んでほしいと思います。肉体改造については、原田だけでなく全員に言えることです。選手たちには「これまで通りのオフを過ごしていたら成長はできないぞ」と指導していきたいと思います。

伊藤秀範(いとう・ひでのり):香川オリーブガイナーズコーチ
1982年8月22日、神奈川県出身。駒場学園高、ホンダを経て、05年、初年度のアイランドリーグ・香川に入団。140キロ台のストレートにスライダーなどの多彩な変化球を交えた投球を武器に、同年、12勝をマークして最多勝に輝く。翌年も11勝をあげてリーグを代表する右腕として活躍し、06年の育成ドラフトで東京ヤクルトから指名を受ける。ルーキーイヤーの07年には開幕前に支配下登録されると開幕1軍入りも果たした。08年限りで退団し、翌年はBCリーグの新潟アルビレックスBCで12勝をマーク。10年からは香川に復帰し、11年後期より、現役を引退して投手コーチに就任した。NPBでの通算成績は5試合、0勝1敗、防御率12.86。

(このコーナーでは四国アイランドリーグplus各球団の監督・コーチが順番にチームの現状、期待の選手などを紹介します)