北朝鮮核問題。ついに日本も「攻撃能力」を考える時がきたか
対応が後手に回ってはマズイ

脅威にどう対抗するのか

日本海に向けた北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて、日本の防衛体制に対する懸念が高まっている。日本は迎撃ミサイルで撃ち落とす構えだが、それだけで本当に大丈夫か。敵の基地をたたく「策源地攻撃能力」の整備を急ぐべきだ。

北朝鮮は9月5日、日本海に弾道ミサイル3発を発射した。中距離弾道ミサイル「ノドン」か短距離弾道ミサイル「スカッド」とみられており、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。

日本政府が確認しているだけで、北朝鮮は今年に入って21発のミサイルを発射している。8月3日にもノドン2発がEEZ内に着弾し、同24日には潜水艦発射ミサイル(SLBM)も発射された。漁船などに着弾していたら一大事だった。

北朝鮮は9月10日、5回目の核実験にも成功した。弾道ミサイルへの搭載を想定した「核弾頭の爆発実験」とみられている。5回の核実験に成功すれば小型・軽量化が格段に進むと言われていたが、北の核ミサイルはいよいよ現実味を帯びてきた。

こうなると、核とミサイルの脅威にどう対抗するのか、が問題の核心になる。

日本はミサイル攻撃には二段構えの迎撃ミサイルで撃ち落とすのを防御の基本にしてきた。第一段は敵ミサイルの発射直後に大気圏外で迎え撃つイージス艦発射ミサイルの「SM-3 Block・A」、第二段が大気圏に再突入した後、地上から迎撃する「PAC-3 MSE」である。

パトリオットの名前で知られるPAC-3は、防衛庁や島嶼地域などに配備されるたびに映像が公開されているので、見覚えがあるだろう。

【PHOTO】gettyimages

ノドンの速さはマッハ7以上とも言われている。そんなミサイルを「ミサイルで撃ち落とせるのか」という疑問はだれでも抱く。迎撃の命中率は米国の実験でSM-3もPAC-3も80%以上だった。ということは、残り20%弱は失敗という話でもある。

SM-3とPAC-3に加えて、韓国が配備を決めた高高度防衛ミサイル(THHAD)を日本も採用する案もある。北のミサイルに脅やかされているのは、日本も韓国と同じなのだから、THHADも前向きに検討すべきだろう。

発射基地への攻撃も考える時が来た?

ここからが本題だ。北のミサイルを各種の迎撃ミサイルで迎え撃つのは必要としても、それで十分か。私は十分とは思えない。迎撃に失敗する可能性があるからだ。それならば、ミサイル発射基地そのものに対する攻撃も選択肢に考えるべきではないか。

それは「策源地攻撃能力」と呼ばれている。

ノドンはトレーラーのような移動式発射台(TEL=Transporter Erector Launcher vehicle)から発射される。発射直前まで地下や森の中などに隠されていて、発射後は直ちに移動するので、上空から発見しにくく、かつ攻撃しにくい。

目標が移動しない基地とは区別して策源地と呼んでいる。もともと策源地とは前線への武器弾薬を補給する後方基地という意味だ。

敵の策源地を直接攻撃して専守防衛に反しないのか、という批判もある。だが「専守防衛には反しない」というのが歴代の、少なくとも自民党政権の考え方だった。

たとえば、1956年3月1日の衆院内閣委員会では当時の鳩山一郎首相が「わが国土に対し誘導爆弾等による攻撃が行われた場合『座して自滅を待つべし』が憲法の趣旨とは考えられない。必要最小限度の措置をとる、たとえば他に手段がないと認められる限り、誘導弾の基地をたたくことは法理的に自衛の範囲に含まれ、可能と思います」(一部略)と答弁している。

その後の自民党政権もこの考え方を維持した。自民党だけでもない。民主党の前原誠司衆院議員は2003年3月27日の衆院安全保障委員会で「同盟関係を見直す中で、少なくとも自国(=日本)である程度のそういう能力(=打撃力)を持つことは今後、検討すべきじゃないかと申し上げている」(同)と発言している。