韓国 不正・事件・犯罪
韓国発「嘘のような」本当の事件簿〜十字架に磔、マンホール内首吊り
あまりにも奇想天外!
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「ためにならない」本が売れない韓国で異例のヒット

韓国人にとって「読書」というものは、大部分「教養」や「自己啓発」、または純粋に「文学」を楽しむという目的で行われる。こうした傾向を反映して、韓国ではそうした「ためになる」本が読まれるし、売れる。

逆に「ためにならない」本はあまり読まれないし、売れない。そもそも、書かれないから書店にも置かれない。

「ためにならない」本の代表格はミステリーの類である。ミステリーは犯罪を描いたものだから、謎解きとしての面白さはあったとしても、「教養」「自己啓発」のためにはならないし、純粋な文学としても認められないのである。だから韓国の書店では、ミステリー関連書籍の書棚がとても小さい。

また、日本では何か大きな事件が起こると、必ずそれに関するルポルタージュが本として出版される。書店の「社会問題」の書棚には、各種犯罪や未解決事件、暴力団抗争に関する本が数多く並んでいる。

一方、韓国ではあまりそういう本は出版されず、売れない。犯罪に関する本などを読んでも気分が憂鬱になるだけだし、「ためにならない」というのが大部分の韓国人の考えなのである。

ところが、最近、そうした風潮に一石を投じる書籍が出版された。『完全犯罪』という本である。

正確に言うと、この本は「完全犯罪」に関する本ではない。未解決事件、つまり「迷宮入り事件」(韓国では「未済事件」という)ばかりを扱った本なのである。2015年の発売から現在まですでに3刷。この種の本としては異例の売れ行きを見せている。

著者は未解決事件を扱うサイトの運営者である。もちろん、興味本位のサイトではない。未解決事件の風化を防ぎ、事件に対する一般社会の関心を呼び起こし、事件の解決につなげたいという目的で運営されているサイトである。『完全犯罪』はこのサイトで注目を集めた未解決事件を集めたものである。

取り上げられた事件は未解決の殺人事件や失踪事件が多い。特に幼児や若い女性に対する凶悪犯罪(殺害・拉致など)が多く、読んでいても胸が痛む。

すでに時効を迎えてしまった事件も多いが、遺族や被害者家族にしてみれば、こうした事件に時効などない。また、事件に対する一般の関心が薄れてゆくのを見守るのも、耐え難い苦しみだろう。そうした意味で、この本の内容は十分に価値あるものだと思う。

この本で扱われている事件の中には、発生当時、韓国国内を震撼させたものも含まれている。そのうちのいくつかを拾ってみよう。

韓国でヒット中の書籍『完全犯罪』

乳幼児5人が連続拉致

まずは、「大川幼児連続失踪事件」。これは韓国の中西部・忠清南道大川市(現・保寧市)という地方都市で起きた事件である。

1991年8月から1994年の8月までの3年間に、同じ町内に住む乳幼児ばかり5人が一定の間隔で次々と拉致されるという猟奇事件だった。

拉致された乳幼児のうち、1人は自宅付近で無事発見されたが、1人は行方不明のまま、2人は発見後に死亡、1人は殺害され、遺体で発見された。

被害者は生後3ヵ月から5歳までの乳幼児で、全員が寝ている間に拉致されていた。事件現場である被害者の自宅は5軒とも半径300メートルの圏内に収まるほど隣接していた。

家宅に侵入して、寝ている乳幼児を拉致するという同一の手口から、同一犯の犯行と見られているが、誰が何の目的で、乳幼児を拉致したり殺害したりしたのかはまったくわかっていない。

このことが更なる恐怖を煽ることになった。

警察の必死の捜査の結果、被害者となった5人の乳幼児はすべて大川市内の同じ産婦人科で生まれていたことが判明したものの、事件解決の手がかりとはならなかった。発生当時、この事件は韓国のマスコミで大々的に取り上げられたが、結局、未解決のまま2009年8月に時効を迎えた。

その後、すっかり忘れ去られたままになっていたが、『完全犯罪』のおかげで再び世人の関心を集めることになった。

マンホールの中で首吊り

次に紹介するのは「梧倉マンホール変死事件」。2010年2月に韓国の中西部・忠清南道清原郡の梧倉という集落で起こった事件である。

この集落で、建設会社経営者・A氏(41歳)がマンホールのふたに縄をかけ、マンホールの中に入った状態で、首を吊って死亡しているのが発見された。