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ソマリアの海賊撲滅作戦、武器は銃ではなく「マグロ」だった!
島地勝彦×木村清【第3回】

撮影:立木義浩

第2回【 マグロ大王とマグロとの「出会い」

ヒノ 木村社長がソマリアの海賊を撲滅したという話をインターネットで知りましたが、詳しくお話しいただけませんか。

木村 そんな大げさな話ではないんですが、ソマリアの海賊の多くはもともと漁民だったんです。1990年代にはじまった内戦による政情不安がソマリアに海賊を誕生させたんです。

シマジ 漁師なんかやっていても食えないから、海賊になるしかないと。

木村 はい。さらに2004年に起きたスマトラ沖大地震による津波で沿岸部は壊滅的な打撃を受けてしまった。もう致命的でした。それで2005年ごろからソマリア海域を通過する世界各国の船舶が海賊被害に遭うことが多くなり、日本の自衛隊をはじめ、アメリカ、フランス、ドイツ、スペインなどの軍隊が艦艇や哨戒機を派遣するような状態になったわけです。

自衛隊がソマリアの隣国ジブチ共和国に活動拠点を作ったのは2011年のことです。

シマジ 自衛隊の先輩として木村社長も心配だったでしょう。

木村 そうですね。わたしも後輩の自衛官たちがジブチに行っていると聞きまして「どうしていまどき海賊が出るんだろう」と意識するようになりました。ちょうどそのころ、わたしのもとへジブチ政府から要請がありまして、現地に行って大統領はじめ水産関係者たちと懇談する機会があったんです。

たしかにわが自衛隊の活動は素晴らしいですが、海賊を根幹から撲滅するにはやはりそこに住んでいる人々の暮らしをよくし、豊かにすることです。彼らがまともな経済活動に携わるようになれば海賊はおのずとなくなるのではないかと考えたわけですね。

ヒノ なるほど、雄大なお考えですね。

木村 わたしは実際に現地の海で日本の釣り方を試してみました。そうしたら、これがよく釣れる。水産資源は十分あると直感的に理解しました。だったら彼らを漁業に従事させたら海賊をやらずに済むんじゃないか。そんなわけで、喜代村とソマリア政府と漁業分野の合意書を交わすことになったわけです。

シマジ へえ! ソマリア政府と直接ですか。話が凄いことになってきましたね。

木村 現地の漁業協同組合を通じて漁民たちに漁業指導をしたり、粗末な漁船しかないというので、日本から中古の漁船を持ち込んだりしました。漁船を運搬する船も日本船籍だとソマリアまで運べないのでスリランカ船籍にして持っていたんですよ。

試行錯誤しながら、ジブチやソマリア沖で漁業が出来るようにしたんです。でも現地ではあまり魚は売れませんから、わたしの会社が買う仕組みを作りました。いまはまだ採算が取れるところまではいっていませんが、いずれそのうち利益を出せる目処は立っています。

シマジ 海賊にしても魚を捕っていたほうが命を落とさずに済むわけですから、彼らも喜んで漁民に戻ったでしょうね。

木村 アルカイダとかISIS(イスラム国)とか国際的な問題がまだまだ沢山あるんですが、いろんな角度からの協力を惜しまず、少しでもジブチやソマリアの人たちの暮らしがよくなるよう、微力ながら応援させていただいています。

わたしは目先の利益、儲けが第一なのではなくて、求められることに応えていくことも「商売」ではないかと常日頃から思っているんです。

立木 えらいね。木村さんの活動は表彰ものじゃないの。

木村 お陰さまで2013年に、スリランカのマヒンダ・ラザパクサ大統領とジブチのイスマイル・オーマル・ゲレ大統領が来日されたとき、お会いすることが出来ました。これまでのわたしの活動を認めていただいて勲章までいただきました。わたしの宝ものです。

シマジ タッチャンのいう通りですよ。下らない政治家にノーベル平和賞をやるくらいなら木村清社長にあげるべきですね。

木村 いやいや。畏れ多いです。

シマジ ソマリア沖でもマグロは捕れるんですか。

木村 はい、あそこはキハダマグロやバチマグロが捕れる世界的な好漁場です。

シマジ じゃあわたしたちは「すしざんまい」で知らないうちにソマリア沖のキハダマグロを食べているわけか。平和こそが世界中からマグロを運んでくる使者なんですね。

木村 そういうことになりますね。

シマジ 木村さん、やっぱりノーベル平和賞まちがいないです。

立木 おれも、冗談じゃなく本気でそう思えてきたよ。海賊を撲滅した日本人っていいんじゃないの。ノーベル平和賞に推薦してあげたい。おいシマジ、誰かノーベル賞の選考委員は知らないのか。

シマジ 以前、ノーベル賞の日本選考委員だった京大の矢野教授は知っていたんですが、もう亡くなってしまいました。

立木 生きて入る偉い人で誰か知らないのか。

シマジ 残念ながら知りません。ヒノ、お前は知らないのか。知らないよな。

ヒノ 聞くだけ無駄とはこのことです。

シマジ タルサワも、もちろん知らないよな。

タルサワ 御意。

シマジ こういういい話はきっとストックホルムに届くと思いますね。

木村 まあまあ、わたしは立木先生とシマジさんにお褒めいただいただけで十分です。