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ローソンを子会社化した三菱商事の「思惑」〜コンビニ戦国時代へ
ファミマ、セブンはどう動く?

コンビニ戦国時代の幕開け

三菱商事は先週金曜日(9月16日)、最大で1440億円を投じて株式公開買い付け(TOB)を行い、コンビニエンスストア第3位のローソンの株式を買い増して同社を連結子会社にする方針を発表した。

三菱商事は今年3月、銅や液化天然ガス(LNG)といった海外の資源ビジネスなどに失敗して最終赤字を計上したことに対応、今期からの3ヵ年計画で「資源」と「非資源」の投下資本のリバランスなどを公約しており、今回の「ローソン子会社化は具体策の第1弾」(三菱商事広報部)という。

コンビニ業界では、セブン-イレブン・ジャパンがこの7月に国内既存店の48ヵ月連続増収の記録を打ち立てるなど、長年にわたって首位の座に君臨してきた。

一方、業界3位だったファミリーマートが4位だったサークルKサンクスを今月1日付で吸収して、ローソンから2位の座を奪い、さらに上をうかがう姿勢を鮮明にしている。

ローソンも、三菱商事による連結子会社化を機に、三菱商事の経営資源をより積極的に活用して競争力を高める構えで、大手3社が入り乱れて覇を競う“コンビニ戦国時代”が幕を開けることになりそうだ。

まず、事実関係と発表内容を見ておこう。

そもそも三菱商事がローソンに出資したのは、2000年のこと。持ちかけたのは、膨らんだ借入金返済のための資産売却を進めていたダイエーの創業者で、同社の代表取締役会長の座にあった中内功氏だ。「ローソンの最有力売却先はダイエーと包括提携関係にある丸紅だ」という当時の下馬評を覆し、三菱商事が20%の株式を取得した。

その後の買い増しによって、現在は発行済み株式の33.4%を保有している。三菱商事はローソンの筆頭株主で、会計処理上、ローソンを「持ち分法適用会社」としている。

ローソンの連結子会社化は「正解」か

前述のように、三菱商事がローソンを連結子会社化する背景には、同社が3ヵ年計画「中期経営戦略 2018~新たな事業経営モデルへの挑戦~」で、「資源」と「非資源」のバランス見直しと、「事業投資」から「事業経営」へのシフトを掲げていることがある。

「非資源」の重点分野である生活産業グループにおいて、ローソンはかねてシナジー効果を追求する重要なパートナーであり、さらに成果を挙げるために資本関係の強化が避けられないというのだ。

三菱商事は16日の取締役会で、TOBを行う方針を承認するとともに、「ローソンの上場を維持する考えも確認した」(広報部)という。プレスリリースによると、買付予定株数の上限は16,649,900株。すでに取得している株式33,500,200株と合わせて、発行済み株式の50%強を保有する計画である。

TOBは2017年1月に開始する予定。買付価格は1株あたり8650円を想定している。この価格は今月14日までの1ヵ月間の平均株価に、15.09%のプレミアム(割増金)を上乗せして算出した。

ローソンも同日の取締役会で、これまで以上に三菱商事の経営資源を活用しやすい関係作りが不可欠だとして、TOBに賛成する姿勢を打ち出した。

次に筆者の評価だが、三菱商事の戦略として見た場合、ローソンの連結子会社化にはおおいに頷ける部分とそうでもない部分が混在している。

最も頷けるのは、ローソンが依然としてコンビニ大手の一角を占めており、コンビニ事業が国内での堅実な成長と海外展開による高成長が見込まれる産業であることだ。そうした分野へのシフトには、「資源」と「非資源」のバランス見直しを掲げる三菱商事の戦略として説得力がある。