不正・事件・犯罪
チケット転売ビジネスの裏側〜荒稼ぎする「新たなダフ屋」の手口
買い占めて10倍の値段で売りつける

男子バレーボールの五輪最終予選が3万円。大相撲の千秋楽が12万円。「嵐」のコンサートは、なんと42万円。プラチナチケットの数々が、ネット上で「超高値」で転売されていることをご存じだろうか。

「白いダフ屋」

これまで、チケットを高値で転売していたのは、いわゆる「ダフ屋」と呼ばれる人たちだった。しかし、元ダフ屋の男性は、「『新たなダフ屋』が荒稼ぎしている」と語る。

「会場付近で客に声をかけ、チケットを売り買いしている我々のような連中は、通称『黒ダフ』と呼ばれています。ですが、『黒ダフ』は『暴力団の資金源になっている』として、ここ数年警察の規制が厳しく、ダフ屋の数も売り上げもだいぶ減ってきました。

代わりに、『白ダフ』と呼ばれる新興勢力が、インターネット上で『大儲け』しているのです。彼らは、チケット売買サイトで、我々の相場より高値でチケットを取り引きしています。その数はここ2〜3年急激に増えてきた。しかも、彼らのほとんどは、暴力団や業者とは縁のない一般人です」

一般人がどうやってそんな大儲けができるのか不思議に思われるかもしれないが、彼らが利用するインターネットサイトの仕組みは次の通りだ。

まず、チケットを売りたいユーザーが、手元にあるチケットの詳細を登録。その際に、売り手は自由に値段を設定できる。そしてその値段で買い手がつけば、契約は成立。やりとりはネット上で行い、支払いは振り込み。チケットは郵送や直接手渡しして取引が完了する。

このようなチケット売買サイトでは、日常的に数万円から数十万円という破格のチケットが売買されている。

「例えばジャニーズのタレントが多数出演するミュージカル『DREAM BOYS』のチケットは、最高37万円で取り引きされています。今シーズンの巨人-阪神戦のボックスシートも10万円。定価の4倍近くです。ネットを駆使して、高額でチケットを売りさばく。まさに『姿の見えないダフ屋』といったところでしょう」(前出の元ダフ屋)

では、そんな『白ダフ』たちはどのようにチケットを入手し、転売しているのか。年間100万円近くチケット転売で稼いでいるという吉本辰也さん(仮名)が、その「ビジネス」のやり口を語る。

「転売を始めたのは5年くらい前です。行けなくなったコンサートのチケットをオークションに出したところ、たまたま定価より高く売れたことがきっかけでした。それ以来、『これは結構儲かるんじゃないか』と思い、チケットを購入しては転売するようになりました」

中国人や韓国人も参入

肝心のチケットの仕入れだが、吉本さんは特にイベント関係者とのコネがあるわけではない。

「人気のアイドルやミュージシャンのファンクラブに登録して、ひたすら応募するのが基本です。それだけでは当選確率があまりにも低いので、友人や家族名義の住所も借りてファンクラブに入り、複数口応募しています。

一度当選したらしめたもの。すぐさま売買サイトに情報を登録します。定価1万円のチケットでも、人気アイドルのコンサートやワールドカップの日本戦ともなると、3万〜4万円でも一瞬で売りさばけます。それがいい席だと、『言い値』感覚で値段が付きます」

吉本さんは会社員。転売は「副業感覚」でやっているそうだ。

実際、誰でもネットを使えば気軽に転売できるため、「白ダフ」に手を染める一般人が急増。消費者同士でチケットを取り引きする二次流通市場は急拡大し、いまや500億円の「巨額」に膨れ上がっている。

吉本さんとは別の「白ダフ」がさらに転売ビジネスの実態を明かす。

「市場に出回る転売チケットの9割は、一般人による個人同士の売り買いです。いわゆる高額転売を目的としたチケット販売の『プロ』たちは、実は残りの約1割。この『1割』が悪質で、なかには年間で1000万円くらい荒稼ぎする人もいます。

最近は中国人や韓国人の留学生もこの『1割』のなかに増えてきています。同じ国の人から『儲かる商売がある』と勧められるのです」

なかには高度なテクニックを用いて、チケットを入手している「白ダフ」もいる。一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(ACPC)の会長である中西健夫氏は語る。

「IT業者が大量のメールアドレスを作って会員登録し、自動的にデータを入力するプログラムを用いて、1秒間に数十件の予約を入れ、チケットを買い占めるという事例が頻発しています」