イギリス
イギリスの老人に学ぶ、お金に左右されない老後「7つの習慣」
第二の人生をどう謳歌するか

どうすれば豊かな老後が手に入るのか、私が『イギリス式 中流老後のつくり方 なぜイギリス人は貯金500万円で幸せに暮らせるのか?』で取材した、あるイギリス人夫婦を例に一緒に考えてみたいと思います。

「隠された宝石」と呼ばれるノッティンガムシャーのサウスウェルに夫のスチュワートと猫と暮らすケイティは、これまで会った誰よりも現役を退いた後の第二の人生を謳歌する達人です。

まだ60代の彼女と出会った時、私は50代になったばかりでしたが、楽しい計画で埋め尽くされた暮らしぶりに、心底早く年を取りたいと憧れをつのらせました。

日本でも取り入れられそうなアイデアが詰まった中流老後につながる7の提案をご紹介します。

①住まい:「便利さ」で選んではいけない

終の棲家をどうするか。このままでいいのか、それとも別の町に住もうか、老後を前に頭を悩ませている方も多いでしょう。

ケイティは、ノッティンガムシャーのサウスウェルにある今の家を見つけるまでに、なんと5年もかかったそうです。4人の子どもたちは成人し、ロンドンやニュージーランドなど思い思いの地へ。

かつてほとんどの時間を専業主婦として過ごした彼女は、再び夫と二人だけの静かな生活に戻った時、一日中家にいて何をしたらいいのか戸惑ったそうです。豊かな老後を目指すうえで、住む場所はとても重要。もう都会の大きな家はいらないと慎重に場所を探し、ようやく現在の住まいを見つけます。

二人が選んだ町には小さなお店、パブやレストラン、医者や歯医者、動物病院も充実。交通の便も良く、ロンドンやエディンバラへは直通電車も出ています。

また、この町にはU3Aと呼ばれる60年以上も続く国立の学習機関があって、音楽や歴史、アートを学べるカルチャーセミナーがあり、外国語と考古学、アーツ&クラフツを学ぶ気運もあり、大聖堂でのコンサート、パブでのジャズ演奏など、たくさんの日常的なイベントが開催されています。

文化度も高く、同じ興味を持つ友人を見つけやすい。これが決め手になりました。

町に便利さだけを求めるのは危険です。そこに生活する楽しみが見つかるかどうか、そして仲間になって楽しめるコミュニティがあるかどうかはとても重要です。ぜひ町の実力を確かめてください。

〔PHOTO〕iStock

②生活道具:新品は不要  

第二の人生のいいところは、好きなことにゆっくり時間が割けることです。

ケイティが終の棲家で新調した家具はほとんどなし。祖父母、曾祖父母などから受け継いだこれまでの家具が大活躍しています。

壁掛け時計は18世紀に作られた、夫の祖父が子どもの頃から親しんでいたもの。脚をたたむ形の丸テーブルも祖母の家で使っていたもので、ケイティの祖母が古い友人から譲り受けた、まさに使い継がれたものです。

食器棚や小さなテーブル、椅子や写真立てなど、彼女の家にある物の多くが「お下がり」で、年月に耐える高品質の日用品であり、家宝となっていました。

定期的にワックスがけするなどお手入れが必要ですが、家で過ごす時間が増えた今、いながらに古い趣を味わう贅沢にひたっています。

また、厚手のコットンやリネンも洗濯やアイロンにとても時間がかかりますが、洗ったシーツを一晩暖炉の前に干しておけば朝にはすっかり乾いているうえ、「干す」「取り込む」手間も軽減されるとか。毎日パリッとしたシーツの上に身体を横たえる気持ち良さを楽しめるのも、時間がある人だけの特権です。 

③地域生活:楽しめるボランティアを細く、長く

仕事を辞めたあと、家に閉じこもっていては活力が削がれます。負担なく社会とのつながりを保ち、それが人助けにもなる、ボランティアはとても大切。

イギリスの地域生活調査によると、月1回以上ボランティアに参加すると答えた人は65~74歳が最多でした。また、2013~2014年に1回はボランティアした人の割合は64%にのぼっています。

イギリスにはほとんどの街に「Oxfam」や「Save the Children」といった医学の研究、ホスピスなどの重要な資金源となるチャリティショップがあります。使わない品物を捨てるより、社会の役に立ててほしいと思う人々がチャリティショップに寄付したり、それを販売したりするのはとても楽しいそうです。

ケイティは「Bookwise」という古本屋のボランティアを見つけました。古本を売って「Music for Everyone」という団体を支援する店です。

ボランティアの仕事は本を仕分けし、店に並べ、販売するのみ。お店に持ち込まれる本の中には、今はもう手に入らない貴重な装丁のものもあり、ここで半日過ごせる日がとても待ち遠しいのだとか。

雨が降る月曜の朝などは、客足も少なく、静かに本を読みながら過ごせる至福の時。彼女のように本好きな人であれば、暇でも、お客さんが来ても、幸せな時間が過ごせるはずです。

自分の特技や関心事に結びつくボランティアは、同じ趣味を持つ人とのお喋りも含めて心と身体の健康にも良いのです。