市場が、黒田日銀をついに見放したのかもしれない
現れ出した「不自然な動き」

7月末の日銀決定会合を境に、国債の利回りが上昇基調を示している。

9月2日には日銀が超長期国債の買入れを見送った。市場参加者は、その日銀の措置を「はしごを外された」と受け止め手持ちの国債の売却に走った。その結果、長期金利は▲0.02%まで上昇した。

本来であれば、金融緩和観測が燻ぶっていることを考えると、国債の流通利回りには低下圧力がかかってもいいはずだ。ところが、実際にはそうした動きが進んでいない。その背景には、9月の決定会合で行われる“総括的検証”への警戒がある。

ある債券トレーダーは「追加緩和よりも冷静な市場とのコミュニケーションが進んでほしい」と言っていた。彼の言わんとするところは、日銀と金融市場との間のコミュニケーションに問題が発生しているということだ。多くの市場参加者が同じ考えを持っているはずだ。

7月の決定会合後、黒田総裁はマイナス金利の深掘りなどさらなる金融緩和は可能と、これまで通りの強気発言を続けている。

〔PHOTO〕gettyimages

これを額面通り受け止めると、9月20、21日の決定会合では何らかの追加緩和が決定される可能性が高い。本当にそうなるか、結果と注視する必要がある。

「総括的検証」がさらなる不安を招く可能性

7月の日銀決定会合では、市場参加者の期待とは異なりETF買入れ額の倍増を軸とする追加緩和が決定された。これが市場の失望トレードにつながり、8月以降、金利は大きく上昇している。これまでと違うのは、金利がある程度上昇しても買いが入りづらいことだ。

この背景には、9月の決定会合への警戒がある。そこで日銀は、物価および経済情勢、そして金融政策の効果に関する“総括的な検証”を行う。

これに対してエコノミストらは、日銀はこれまでの政策の正当性を評価しつつ、市場に配慮して国債買い入れ額を70~90兆円というようなレンジに切り替え、政策の修正を行うと考えているようだ。

一方、マイナス金利の深掘りについて、エコノミストらの意見は分かれている。

この点に関しては、マイナス金利の是非を論理的に問うことに加え、「マイナス金利だけはやめてほしい」との心情も垣間見える。「マイナス金利の深掘りはないのではないか」との見方の背景には、日銀に対する怨嗟の声があるとも言えるだろう。

しかし、黒田総裁の発言を素直に受け止めると、総括的検証の結論は「マイナス金利政策には相応の効果がある。デフレ脱却が進まないのは資源価格の下落など海外の要因に影響されている。金融緩和が物価の上昇に働きかけてきたことは確かだ。よって、さらなる金融緩和でデフレ脱却を目指すことに変更なし」との内容に落ち着く可能性が高い。

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