週刊現代
もう来なくていい!中国人の「ドタキャン」ひどすぎる
ホテルも飛行機も団体バスも大迷惑
空席が目立つはとバス〔PHOTO〕gettyimages

予約をしたら、必ず行くもの。どうしても行けないなら、前もって連絡をする。そんな日本の常識を中国人観光客は理解できない。直撃を受けるサービス業界から悲鳴が上がり始めた。

「はとバス」の悲鳴

皇居や仲見世、東京タワーにお台場。外国人に大人気の観光スポットを一挙にめぐることができる「はとバス」のツアー。訪日観光客の急増の恩恵をここのところ大きく受け、「爆乗り」状態が続いていて、最近では予約が取れないという印象が強い。

しかしその一方で、これまでにはなかった新しい問題が発生し、頭を抱えているという。中国人観光客の「無断キャンセル」がそれである。

はとバス社員は語る。

「当日姿を現さず、連絡も一切よこさない中国人観光客のグループは、週に一組程度いるんです。

我々は直前まで待ちますが、たいていは結局空席になってしまいます。早めに連絡をくれれば、キャンセル空きで新しいお客さんを乗せることもできるのですが……」

ほとんどのケースが事前にキャンセルの連絡がない「ドタキャン」状態であるため、会社としてはなす術がないという。

はとバス社員は続ける。

「われわれは、滞在先のホテルでお客さんをピックアップするサービスを提供しています。ですが中国人観光客のなかには、この送迎サービスを希望したにもかかわらず、結局姿を見せず、連絡もしてくれない人までいます」

そこまでさせておいて無断キャンセル。日本人には到底理解できない感覚である。

いま、このような中国人によるドタキャントラブルに、バス業界全体が苦しめられている。なかでも深刻な打撃を受けているのは、外国人の観光客を多く受け入れる中小バス会社だ。

貸し切りでもドタキャン

関東圏のバス会社幹部は、中国人によるドタキャンのなかでも「悪質なケース」について語る。

「タチが悪いのは、中国の旅行代理店から業務を委託された中国人の仲介業者。彼らとやりとりするとトラブルばかりです。

『中国人観光客を相手にバスを貸し切りたい』と仲介業者が言うので、こちらが事前に金額を提示して、予約をもらいました。なのに、直前に『話が違う。料金が高すぎる』などと不満をこぼしはじめ、結局予約はキャンセルに。予定の日にはバスが出せず、大損しました。

また、バス運賃の上下限は国が定めているのですが、彼らが要求してくる運賃は、その下限よりもはるかに安い金額。例えば、10万円でようやく採算が取れるコースでも、平気で『6万円でなんとかしてくれ』とふっかけてきて、応じないとドタキャンしてくるのです」

彼らの要求を断れず、実際には法定の金額以下の運賃でも引き受ける零細バス会社は多いというから、「キャンセル」という名の脅しは企業にとって恐ろしいものなのだ。

在京の中堅バス会社の社長は、「『乗車中』のドタキャンという厄介なケースもある」と語る。

「バスに乗ってから、行き先の変更を添乗員や運転手に注文する中国人観光客がいるんです。

池袋のホテルから東京ディズニーランドへ向かっていたバスの中で、中国人客の一人が『銀座で買い物がしたくなったから、ルートを変更してくれ』と大騒ぎしたことがありました。添乗員が断ったところ、その客は今度はバスの運転手に現金をちらつかせ、『行き先を変更しろ』と買収をもくろみ始めたのです。

うちのような中小バス会社はぎりぎりの経営。だから、客のいうことにはある程度応じなければいけない。その身勝手なルート変更に従って、それまで予約していた飲食店や観光地に我々がキャンセルの連絡を入れ、謝ったこともあります」

バス業界だけではない。観光客が宿泊するホテル業界でもまた、同様の中国人観光客のドタキャンで「大損」する被害事例が多発している。

とある京都市内のホテルは、清水寺や祇園といった名所にアクセスが良く、外国人に大人気。だがこちらも相次ぐ中国人観光客の直前キャンセルに頭を抱えている。

ホテル従業員は言う。

「うちを利用する中国人観光客のほとんどは『Booking.com』のような宿泊予約サイトから予約申し込みをしてくるのですが、サイト経由だと直前のキャンセルがとても多い。

このサイトは2日前までキャンセル料は無料。サイトの制度である以上仕方ないのですが、こちらとしては、2日前から新しい宿泊客を見つけるのは至難の業。うちはベッドが10床と少ないのですが、先週末は、2日前までに5人のキャンセルが出てしまいました。結局その5床の予約は埋まらず、結局週末なのに売り上げは半減です」

その日の気分次第だよ

キャンセル料は、予約日とその前日にキャンセルした場合には発生するが、それもほとんどのケースで「取りっぱぐれ」になるという。

「宿泊予約サイトがお客さんからキャンセル料を取り立ててはくれない。サイトに登録されたクレジットカードの番号を頼りに、自国に帰ってしまった外国人を探し当て、請求するしかない。これが簡単にできるなら苦労しませんよね。ほとんどは『泣き寝入り』に終わってしまうのです」(前出・ホテル従業員)

京都では、ホテルだけではなく料亭やレストランでもドタキャンが多発。見かねた京都市役所は、外国人向けにマナーを啓発したパンフレット「京都のあきまへん」を発行。レストランのドタキャンも「禁止リスト」の項目のひとつに入っている。

その作成にかかわった京都市職員は語る。

「京都のレストランや料亭には、数席しかないようなお店も多くあります。コース料理となると当然事前に仕込みがあるわけですから、『キャンセル』だと食材もムダになり大きな損失につながります。役所には、飲食店の方々からのドタキャンに関する悩みが多く寄せられていますね」

もちろん京都に限らず、中国人観光客によるドタキャンは、全国のレストランや飲食店でも相次いでいる。

東京・西麻布にある「山田屋」はミシュラン3つ星を6年連続で獲得した超名店。本格的なふぐ懐石料理を食すことができるとあって外国人にも大人気だ。席は個室が4部屋とカウンター席が5席のみ。なかなか予約が取れないのだが、ここでも中国人によるドタキャンが多発している。

「山田屋」の店員は言う。

「2週間に1~2回は中国人観光客の『ドタキャン』がありますね。滞在先のホテルなど、きちんとしたところを通して予約するお客さんは必ず来店してくれます。逆に、『日本語ができる友人』を名乗る人や、中国人代理業者からの予約は、キャンセル率が高い。

数日前に予約の確認の電話を店側からするんですが、そこで電話に出ない場合は十中八九来ない。

店としては来ることを前提に朝から仕入れ、仕込みなどをします。魚は日持ちしませんし、さばいてしまえば他の料理に流用するということもできません。だから、お客様がこなければすべて『ムダ』になる。うちは定番のふぐコースを2万3000円から提供していますが、4名様の連絡なしのキャンセルとなると、9万円以上の損です」

日本の飲食店が気を揉むのをよそに、中国人観光客が気軽にドタキャンを繰り返すのは、中国人特有の「予約観」があるからだ、と飲食店関係者たちは口を揃える。

「日本の料亭の多くは客数を絞り、予算や人件費をかけて最大のサービスを行う感覚でやっているけれど、中国のレストランは100人が入れるような店が多い。客も『2人や3人が行かなくてもたいしたことないだろう』と思っているのです。

なかには『確信犯』の観光客もいます。寿司屋とフレンチなどの予約をいくつか押さえ、その日の気分で行きたいところに行く、というのが『常套手段』の人です」(都内日本料理店店主)

観光客だけではなく、ビジネスの現場でも約束を反故にすることは中国では日常茶飯事だ。

中国の企業に詳しいコンサルタントは語る。

「日本人の知り合いに中国人の実業家を紹介することになり、銀座でなかなか予約が取れないうなぎ屋さんに招待しました。当日、知り合いと私は店内で待っていたのですが、突然中国人から電話がかかってきて『行けない』と一言。理由を聞くと、『いま円が安くて、買い物したくなったから』と平然と言ってのけました」

日本人が締め出されているぞ

約束をいとも簡単になかったことにしてしまう中国人の「国民性」について、中国経済に詳しいジャーナリストの姫田小夏氏は語る。

「中国人はその瞬間、瞬間のプライオリティを判断しながら生きている。例えば今日約束をしても、明日もっと良い約束ができれば、そちらを優先させてしまうんです。

人間関係も同じ。自分によりメリットのある人との面会を優先させます。これは中国人同士の約束でも同様です。一度アポをとっても、同じ日、同じ時間に『より条件のいい』アポが入ると、その前のアポは完全になかったことになります」

各業界に影響を及ぼしている中国人のドタキャンだが、金銭的な損があるかどうかは業界によって異なってくる。

「客が予約をすっぽかす、というケースは飛行機では頻繁にありますよ。そのうえ、搭乗の直前に『まだ人数がそろっていないから便を変えてほしい』とか、いろいろ難癖をつけてくることもあります。

ただ、飛行機の場合予約時にチケット代を全額振り込んでもらっていますし、振り替えや取り消しも手数料を取るので、航空会社に損はありませんね」(大手航空会社社員)

しかしいくら企業の損が少なくても、中国人の予約によって交通機関が「占拠」され、ほんとうに利用したい日本人が利用できないのであれば「大迷惑」そのものだ。前出・山田屋店員は言う。

「『中国の日』を定めて、その日以外は中国人の来店を制限する店もあるそうですが、マナーのある中国人客もいるので、制限はなかなかできません。

うちもキャンセル料を設定しているけれど、ほとんど請求しない。来ないのならば、電話一本で『次にまたお願いします』と、その一言がもらえればいいんですけどね」

中国人観光客の「爆買い」はこれまで日本経済に恩恵をもたらしてきたが、その勢いも衰えつつある。このまま彼の国の人々による迷惑行為ばかりが目立つようになれば、「もう来るな!」、そう叫ぶ日本企業や店は増えていくだろう。

「週刊現代」2016年9月10日号より