週刊現代
東京五輪「開会式」を大胆予想〜長嶋茂雄、秋元康、EXILE…
リオに負けたら恥ずかしい

●総合演出はこの人で決まり!
●聖火ランナーアンカーは長嶋茂雄?それともイチロー?山中教授?
●国家独唱は桑田佳祐で大丈夫か
●開会宣言は国家元首、そのとき天皇は…
●パフォーマーはあの人気グループ?
●張り切る小池百合子の見せ場がなくて…

リオ五輪は過去最多41個のメダルで幕を下ろし、閉会式では東京五輪の「次回予告」が華を添えた。バトンを受け取った今、本番までに残された時間は短い。ニッポンの総力を出し切る布陣が決まる。

アニメとゲームだけじゃダメ

「今回の日本のパフォーマンスには満点をあげたい。2020年の東京五輪開会式はハードルが上がりましたね」(脳科学者の茂木健一郎氏)

アップテンポのジャズにのせ、東京の夜景をバックに躍動するアスリートの肉体。世界で知られる日本のキャラクター、キティちゃんやドラえもんが街を駆け回る—。

8月22日に閉幕したリオ五輪。閉会式で披露された、リオデジャネイロから東京への引き継ぎプレゼンテーション「トーキョーショー」が、国内外で好評を博した。とりわけ、安倍総理が任天堂の人気ゲームキャラクター・スーパーマリオの扮装で登場した瞬間には、マラカナンスタジアムが大きな歓声に包まれた。

前出の茂木氏は、アニメやゲームのキャラクターに的を絞った今回の演出についてこう続ける。

「たとえ国内で人気があっても、世界的に知られている日本人は意外と少ない。その点、海外で知名度の高い架空のキャラクターを前面に出す演出は正解だったと思います」

元ニッポン放送社長でディスクジョッキーの、亀渕昭信氏の評価も高い。

「私は前回の東京五輪の年にニッポン放送へ入社しましたが、今回のショーはよかった。『君が代』のアレンジは、荘厳でありながら親しみやすかったし、BGMも、ブラジルのサンバのリズムとJポップが見事に合わさっていました。日本的なものを残しつつ、若くて新しい視点を取り入れるのは素晴らしいことです」

一方で、厳しい意見も聞かれる。スポーツ評論家の玉木正之氏が言う。

「がっかりしました。あれが『日本的』なパフォーマンスだと評価されるなら、残念でなりません。能や歌舞伎、和服といった伝統の要素が一切なく、マリオやドラえもんが出てくるだけ。そんな時代になってしまったのかと思うと、脱力します。

安倍総理のサプライズ登場も問題です。政治がスポーツに介入することは許されないし、オリンピックは都市がやるものであって、国のトップが出てくるべきではない。二重に間違った演出です」

確かに、海外のメディアからは「驚いた」「本番はどんなすごいものが見られるのか」といった好意的な評価があった一方、総理自らゲームキャラクターに扮する趣向を「恥ずかしげもない」(英BBCテレビ)と皮肉る向きも少なくなかった。

4年後の夏に行われる東京五輪の開会式は、まさに全世界へ日本をアピールするチャンス。同時に、失敗が許されない一度きりの挑戦でもある。世界から「リオに負けている」と評価されれば、国民は自信を失ってしまうだろう。五輪後の日本人の誇りが、この瞬間に懸かっていると言っても過言ではないのだ。

北野武はやる気十分

では、本番の大舞台を取り仕切る「総合演出」を担うのは誰になるのか。TBSでドラマ『下町ロケット』『せいせいするほど、愛してる』などのプロデューサーを務める伊與田英徳氏は、この人たちを推す。

「やはり世界的に有名な映画監督ということで、真っ先に候補として挙げるべきは北野武さん、あるいは宮崎駿さんではないでしょうか」

'08年の北京五輪では、故・高倉健が主演した『単騎、千里を走る。』の監督で知られる張芸謀が、また'12年のロンドン五輪と今回のリオ五輪でも世界的に著名な映画監督が演出を務めた。

こうした流れを踏まえ、69歳の北野は今年2月、テレビで「東京五輪も映画監督が演出しなきゃいけない」「となると、オレしかいない」と自信を覗かせている。芸術映画の本場フランスでも高い評価を受ける北野なら、海外での知名度は十分だ。

一方宮崎は、名声も実力も申し分ないが、「アニメが中心で実写映画はほとんど手掛けていないし、商業主義やナショナリズムに距離を置く考え方を持っているので、受けてもらえないのではないか。年齢も、五輪開催時には79歳になる」(東京五輪組織委員会関係者)という声も出ている。

芸能界からの有力候補が、やはりAKB48などを手掛け、組織委員会理事も務める秋元康(58歳)であることは間違いない。しかしネット上では、アイドルグループが五輪の国際舞台で歌い踊ることを不安視する声も多い。'12年には、米CNNの記者が秋元に対して「(AKB48などのアイドルは)未成年女性の性的搾取ではないか?」と質すなど、宗教や価値観の異なる海外からどう見られるかも、避けられない課題だ。

演劇界からは、日本人として初めてブロードウェイミュージカルの演出を手掛けた宮本亜門(58歳)と、芸術性の高い作劇で知られ、歌舞伎の演出もこなす野田秀樹(60歳)の名が挙がる。

前出と別の組織委員会関係者によれば、毎月行われている非公式会合では、ついに最終候補が絞り込まれつつあるという。

「実は、リオ五輪後に『最有力』と言われるようになったのが野田秀樹さんです。野田さんは都の文化交流事業を監修していて、五輪会期中にはリオを訪れています。彼ならば、襲名後の新・市川團十郎を登場させるといった、伝統芸能を組み込んだ演出もできるでしょう。

加えて関係者が重視しているのが、小池百合子都知事と野田さんが非常に親しいこと。人選には都知事の意向も働きますから、小池さんが彼を推すこともあり得る」

開会式の総合演出担当者は「大会本番の2~3年前には決まる予定ですが、正確な決定時期については未定」(組織委員会広報担当)。「日本丸」の舵を取る人物が決まるのは、早くとも来年ということになるだろう。

二階が北島三郎を推す?

国民にとって総合演出と並んで、いやそれ以上に気になるのが、音楽監督や国歌独唱を誰が担当するのかだ。

リオ五輪閉会式の「トーキョーショー」では、37歳のシンガーソングライター・椎名林檎と、Perfumeなどの楽曲を手掛ける36歳の中田ヤスタカら、若手が中心となって音楽面を担った。実は、今回使われた曲「望遠鏡の外の景色」は、野田の戯曲『エッグ』のために椎名が以前書き下ろしたもの。もし野田が総合演出に決まれば、椎名がそのまま音楽監督を担当する可能性もあるが、誰もが知る大物の登場を望む声も根強い。

「組織委員会が参考のために行った非公式の世論調査では、AKB48やジャニーズなど若者に人気のグループを抑えて、やはりサザンオールスターズが圧倒的に支持を集めている。桑田佳祐さんは国民的歌手ですから、音楽監督や国家独唱で起用したいという意見は委員の間でも多いですが、海外からどう評価されるかが未知数です。

また、都庁幹部の間で支持されているのが、『やはり日本人なら演歌でしょ』ということで、北島三郎さんに君が代を歌ってもらいたいという案。実は二階(俊博自民党幹事長)さんが、今年3月にいきなり『演歌議員連盟』なるものを作っている。政界も演歌界の大物をねじ込もうとするのではないか、と噂されています」(都庁関係者)

ド派手な開会式のセレモニーの中で、音楽と並び重要なのがダンスである。前出の亀渕氏は、今回の「トーキョーショー」のパフォーマンスが参考になると話す。

「今回のダンスは、青森大学男子新体操部が中心メンバーだったそうですが、非常に質が高かった。義務教育で8年前からダンスが必修科目になりましたから、その成果が出たのではないでしょうか」

おそらく、セレモニーはいくつかのパートに分かれることになる。神楽、日本舞踊、能や狂言といった伝統芸能と、バレエや前衛舞踊、ストリートダンスなどの現代ダンスの双方のトップランナーが総動員され、若者たちがそれを支えるはずだ。

「邦画で今年一のヒットとなる見込みの『シン・ゴジラ』でゴジラの動きを担当した狂言師の野村萬斎さんや、現代舞踊家で俳優としても有名な田中泯さんなど、人材は多い」(前出・都庁関係者)

無視できないのは、人気と実力を兼ね備えたダンスグループEXILEの存在だ。数年ごとに全国でオーディションを行い、20人近いダンサーを擁する同グループも、セレモニーのどこかで登場する可能性が高い。

聖火リレーのアンカーに推す声のあるイチロー〔PHOTO〕gettyimages

超サプライズの村上春樹

そして、開会式のフィナーレを飾り、世界から最大の注目を浴びるのが、聖火ランナーの最終走者。次回から競技種目に野球が復活することもあり、長嶋茂雄(80歳)、王貞治(76歳)、イチロー(42歳)などの名前が早くも一部で報じられているが、スポーツライターの小林信也氏はこう話す。

「やはり日本といえば野球ですし、海外での知名度を考えれば王さん、イチロー選手はバッチリです。ただ、オリンピックはプロではなく、あくまでアマチュアが主役の祭典であることも考えたい。

『'64年東京五輪から聖火を引き継ぐ』意味で、当時金メダルを獲った選手がいいのではないでしょうか。バレーボール女子『東洋の魔女』キャプテンの河西昌枝さんが適任だったと思いますが、残念ながら'13年に亡くなってしまいました。

'96年のアトランタ五輪では、モハメド・アリが病身をおしてアンカーを務めましたが、長嶋さんにも体調の心配がある。悩ましいところです」

山中教授〔PHOTO〕gettyimages

スポーツ界以外から選ぶとするならば、プライベートでマラソン大会にも参加するノーベル医学・生理学賞受賞者の山中伸弥教授、ハリウッドでも評価の高い俳優の渡辺謙が大会関係者の口の端に上っている。「大穴」としては、こちらもマラソンが趣味の作家・村上春樹の名前が挙がるが、めったに公の場に姿を現さないうえ、オリンピックそのものにもやや批判的なことを考えると、望み薄かもしれない。

オリンピック憲章では、「開会宣言は開催国の国家元首が行う」と定められている。前回の'64年東京五輪ではもちろん昭和天皇が務めたが、折しも今上天皇は「生前退位」の意向を示したばかり。'20年の開会式ではどうなるのだろうか。

「天皇陛下の意向を踏まえれば、『きちんと天皇の責務が果たせる人物がやるべき』という以上、皇太子さまが次の天皇となるか、摂政として開会宣言を行うのではないか。東京五輪が開催されるときには、すでに元号も変わっているかもしれませんね」(前出・組織委員会関係者)

一方、リオ五輪閉会式に数百万円は下らないといわれる豪華な金糸の帯の着物で姿を現し、五輪旗を受け取った小池百合子都知事だが、意外にも東京五輪本番のセレモニーでは出番が少ない。通例、開会式でスピーチをするのはオリンピック関係機関の長なので、現在の体制なら、組織委員会会長の森喜朗元総理が壇上に立つというわけだ。

小池都知事が'20年も在任していれば、閉会式で五輪旗を2024年の開催都市の首長に渡す役割を果たす。ちなみに同年の開催地にはパリ、ローマ、ブダペスト、ロサンゼルスと、錚々たる大都市が名乗りを上げている。決定は来年9月だ。

'13年9月に東京五輪開催が決まって、はや3年。残された月日はあっという間に過ぎてしまうだろう。ここから4年間、日本人は「真の実力」を問われることになる。

「週刊現代」2016年9月10日号より