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収入の何%を貯蓄すれば安心? これが「人生設計の基本公式」だ!
お金の運用で最も大事なこと

案外教えてくれない「許容できるリスク」の決め方

個人がお金を運用する場合に、最も大事なことは、投資してリスクを取る金額を決めることだ。特に、どこまでリスクを取っていいかの上限を決めなければならない。

しかし、この決め方を具体的に教えてくれる人や本が、案外ないのが現実だ。

そのために、個人は、しばしば、資金の将来の使用目的別に運用方法を変えたり(ダメなFPに相談するとしばしばこうなる)、もっとまずいケースでは、銀行員や証券マンなど「金融商品を売る人」のアドバイスにそのまま従ったりすることになる。前者は非効率的であり、後者は明白に金融機関の「カモ」となる。

今回は、この問題を「真面目に」検討してみようと思う。人生設計の基本となる考え方とともにご説明するので、読者は、是非一緒に考えてみて欲しい。

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許容できるリスクの上限を考える上で重要なのは、最大限に損をした時の損失額を許容できるか否かだ。

この決め方は、比較的頻繁に説明されており、「マイナス2標準偏差」のイベントが起きた時の損失を、最大損失額の目処として考えよ、とするやり方が、金融界の標準だ。

リターンが正規分布すると考えた場合、起こり得る事態の悪い方から数えておおよそ2.3%の点の推測なので、「100年に1度」級の最悪事態では、これ以上の損失が出る場合があるが、途中で売ることもできるので、損はこの辺で止めることができるだろうという前提条件付きの「最悪」だ。

例えば、内外の株式インデックス・ファンドにおおむね半々(推奨は外国株6割、国内株4割だが、大きな差は無い)で投資すると、推定リスクは18%〜19%くらいと計算されることが多い。

少し余裕を見て20%と考えるなら、期待リターンを5%、標準偏差で見たリスクを20%とすると、5%−2×20%=−35%、と想定する。1,000万円の株式投資なら、1年後に350万円の損失が許容できるかどうかが、判断の分かれ目だ。

「350万円も損をすると、後の生活に支障がある」という場合には、1,000万円の株式投資は過大だということになる。

だが、問題は「350万円の損」が許容可能かどうかの、判断の具体的な方法だろう。

「現役」と「老後」のバランス

以下は、筆者が「人生設計の基本公式」と呼んでいるもので、今後の現役時代の稼ぎ(手取り年収)を一定として想定したときに、現役時代の収入の何パーセントを貯蓄することが必要かを計算するものだ。

(図)人生設計の基本公式

例えば、大学を卒業して企業に就職したこれから23歳になるサラリーマンが65歳の誕生日に定年を迎えるまで42年「現役」で働いて、65歳から95歳になるまでの30年間、年金と蓄えの取り崩しで生きていくとしよう。

「年金」を現役時代の手取り所得の3割として(厚労省が目指す「所得代替率5割」をアテにするのは現実的でない)、「老後生活比率」を現役時代の0.7倍、0.6倍、0.5倍、とすると、それぞれ19.0%、15.0%、10.5%を貯蓄しなければならない計算だ。

知り合いのFPに聞くと、老後の生活費は現役時代の7割くらいが目処だという。新入社員諸君は、「手取り所得の2割貯められれば、老後の生活に心配はない」、「1割貯められないようだと、老後の生活は現役時代の半分未満になる」と認識されたい。将来大いに稼ぐ人も、それほど稼がない人も、現役生活に対してそれなりのバランスの老後が待っている計算だ。

大まかではあっても、計算ができていて、必要貯蓄率が確保できていれば、「老後貧乏」だの「老後難民」だのといった世間の「脅し」を恐れる必要はない。

読者は、今後の想定される平均年収(手取り)と、老後にあって現役時代の何倍の生活をしたいか「老後生活費率」を想定し、先の公式で必要貯蓄率を計算してみて欲しい。

老後生活費率、現役年数(これを延ばすと、老後年数が縮む)を変えて、達成可能な「必要貯蓄率」に辿り着いたら、大まかな経済的人生設計が完了する。