医療・健康・食
現役医師たちの内部告発「とんでもない医者と病院の実態、話します」
手術ノルマの存在、薬の乱用、人格…

本当は多くの医師が胸にわだかまりを持ち、不信感を抱いている、医療現場の様々な問題。普段はおおっぴらにできない、疑問、義憤、独善が噴き出す「本音」を一気に公開する。

本音の「内部告発」

「避けられる手術を避けようとしない」

「手術適応(手術をするか否かの判断)の甘さによる過剰手術」

「大病院ほど看護師が自分の仕事の範囲を制限している」

「(医師が)カルテをよく読んでいないような印象を受ける」

「患者さんの意向を考慮せずに、医師主導で何でも決定する雰囲気(がある)」

「手術適応を吟味せず手術が行われることは、戒めるべきだ」

これらはすべて、現役の医師たちが医療現場で働くなかで抱いた、正直で率直な感想である。

普段、医師たちは患者を安心させるため、患者に対しては医療現場の内実をおおっぴらに話すことはない。しかしその「建て前」の裏側には、この国の強大な医療システムに対する不信感、分かってはいても口に出せない疑問、義憤といった「本音」が隠されている。

これまでこうした本音は闇のなかにあった。しかし本誌が医師100人超に〈医療現場にいて「これは問題だ」と思う点〉について尋ねたところ、医師たちからは、冒頭のようなとんでもない医療現場の実態について、本音の「内部告発」が返ってきたのである。

最終ページの表には、医師たちの回答をそのまま掲載した。いったいどんな告発がなされているのか。

「ノルマ」が存在する!

まず最も驚くべきは「ノルマ」の存在だ。

病院は、やってきた患者それぞれの症状に応じて治療を行うのが本来の役割だ。しかし、医師に手術のノルマがあれば、その達成のため、本当は必要のない患者に手術を勧めるという、あってはならない事態が起こる。

今回の調査で、実態が浮き彫りとなったのは、(1)「前立腺がんのロボット手術にてノルマがある」(番号は表と対応。以下同)。泌尿器科の医師が、前立腺のロボット手術について解説する。

「前立腺がんのロボット手術は、腹腔鏡手術を行う際の鉗子をロボットが操作するもの。出血量が少なく、早期の社会復帰が見込まれ、合併症のリスクが開腹より低いとされています。ロボットが基本的な技術を補完してくれ、保険適用も認められています」

しかし、いくらリスクが小さいとはいえ、手術にノルマが課された場合、必要のない手術が無理やり行われる可能性が高い。前出の泌尿器科医が言う。

「前立腺がんは進行が遅く、死に至る危険性も低い。待機療法も選択肢に入れるべきものです。ノルマのため、無理に手術が行われては本末転倒。

ノルマが課せられてしまうのは、ロボット手術の機械が高価だからです。機械の維持費を捻出し、かかった費用を取り戻すために、ロボット手術で手術数を稼ごうとするのだと思います」

また、ロボット手術といえどもすべてが自動というわけではなく、術者の技術も問題となる。実際、'10年9月には、名古屋の病院で胃がんの手術にロボットを用いた際、執刀医が操作を誤って、76歳の男性が死亡している。

ノルマが厳しくなれば、経験の浅い執刀医が操作を行う可能性が増え、医療過誤の危険性も増す。病院の経営のために、患者の命が危険にさらされてしまうのだ。