中国版Uber「滴滴出行」が14億人民にもたらした“生活革命”とは
米アップル社も10億ドルを投資
筆者撮影

立秋も近くなった北京首都国際空港に降り立つと、昨年末まで空港ロビーの壁に掛かっていた「中国人寿」(中国最大の国有生命保険会社)の大型パネル広告が取り外されていた。

代わって掛かっていたのは、「滴滴出行」(ディディチューシン)という、これまであまり聞き慣れなかった新興企業の広告。これは、自動車配車ウェブサイト及び配車アプリの米ウーバー(Uber)の中国版である。

北京空港に降り立った時は、なぜこのような新興企業が、「北京空港の顔」とも言うべき位置に大型広告を出しているのかが、理解できなかった。だがその後、中国に2週間滞在しているうちに、滴滴出行は、いままさに14億中国人に「生活革命」とも言えるほどの巨大な変化をもたらしていることを知ったのである。

日本ではウーバーが認可されていないので、あまり馴染みがないが、2009年に米サンフランシスコで始まった、いわば「合法的白タク」である。アメリカのような広大な大陸では、タクシーを待っても一向に来ないし、タクシー会社に電話しても、遠くて来てくれないというケースがままある。

そこで、スマホからウーバーのサイトに入って目的地を入力すると、近くに車がある一般人の「運転手」が連絡をくれる。そこで「OK」ボタンを押すと、たちまち駆けつけて、目的地まで運んでくれるというわけだ。料金は距離と時間に応じた金額で、タクシーよりも安く、しかもカード決済なので、利用者も安心である。

北京空港にたどり着くまで

実は私は今回、北京へ行く当日の東京で、タクシーに関して苦い思いを味わっていた。

すべての締め切りや、諸々の仕事を終えたのが、出発当日の深夜3時過ぎだった。それからトランク2個分の荷造りをしていたらすぐに明け方になるのは確実だが、北京行きの飛行機は、朝9時10分羽田発である。

どうせ機内で爆睡すると思えば徹夜するのは我慢できる。問題は、羽田空港までどうやって行き着くかだった。最寄りの駅まで重荷を転がし、そこから電車を乗り継いで行くのが、これまでのパターンだったが、今回はあまりに疲れ果てていて、真夏なので貧血を起こしてしまいそうな気がした。

そんな時、羽田空港までのタクシーの定額運賃サービスというものが存在することを思い出し、インターネットで検索してみた。すると、私の住む地域からだと、8,500円プラス高速道路料金ということが判明した。電車に較べると随分高いが、身体を壊すよりはマシだと思い、今回だけ大枚をはたく決心をしたのだった。

まずは、全国共通の会員登録を済ませなければならなかった。だがこれが、30分近く経っても終わらない。記入漏れがあるという理由で何度も差し戻され、すべて記入を終えても再び差し戻される。そのうち、疲労困憊してきたのと、ここまで詳細に個人情報を入力しなければならないことに疑問が湧いてきて、放棄した。