コンビニがコーヒーで成功して、ドーナツで失敗したシンプルな理由

市場規模という名の「魔物」
加谷 珪一 プロフィール
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もはやコンビニに個性を求めるだけ無駄なのか

最大手であるセブン-イレブン・ジャパンの2015年におけるシェアは39%、2位のローソンは21.5%、3位のファミリーマートは19.8%だった。上位3社のシェアを合計すると80%を超える。2009年の段階では大手3社のシェアは72.9%だったので、8ポイントほどシェアが拡大したことが分かる。

一方、4位のサークルKサンクスのシェアは13.2%から9.0%に、5位のミニストップは4.5%から3.1%にそれぞれ低下している。販売力のある大手が寡占化することで何とか売上を伸ばしている構図が見て取れる。この傾向はM&Aによってさらに加速する可能性が高い。

ファミリーマートとサークルKサンクスを運営するユニーグループ・ホールディングスは今年5月に株主総会を開催、両社の経営統合を承認した。9月には新会社「ユニー・ファミリーマートホールディングス」が発足する予定となっており、店舗ブランドもファミマに統一される。

ファミマとサンクスが一緒になると、単純計算でシェアは27.8%になり、ローソンを抜いて業界2位に躍り出る。ローソンも今年4月にスリーエフとの資本提携を発表、8月には一部店舗を譲り受けるなど規模の拡大を急いでいる。

 

これまでもコンビニ業界は大手3社の存在感が圧倒的に大きかったが、それでも地域ごとに特色のあるチェーン店が存在しており、商品ラインナップでも差別化を図る動きが続いてきた。しかし、ここまで寡占化が進んでくると、個性的なチェーンの維持はかなり難しくなってくる。近い将来は、どこに行っても同じブランドの店が並び、同じような商品ばかりという状況になっている危険性すら高い。

歴史を振り返ると、昭和の時代、日本でもいわゆる大型スーパーが普及し始めたが、商品価格はメーカーが一方的に決めるという硬直的な市場であった。こうした閉鎖的な状態に風穴を開け、大量調達によって安い商品を提供するというコンセプトで登場してきたのが、イオン(旧ジャスコ)やダイエー(一部店舗はイオンに移行)、セブン旧イトーヨーカ堂だった。

当時、こうした試みは「流通革命」と呼ばれていたが、思ったような展開はできなかった。日本では大規模小売店舗立地法(いわゆる大店法)の規制があり、安値販売のカギとなる大型店舗の出店が難しかったからである。

そこで庶民に安い商品を大量に提供するという流通革命の理想は諦め、現実路線としてコンビニに舵を切ったのがセブンだった。

折しも日本は人口減少社会に突入したこともあり、彼らは「脱チェーンストア理論」を掲げ、利用者のニーズにあった個性的な店舗運営に舵を切ろうと試みた。