安倍昭恵・首相夫人が単身パールハーバーを慰霊訪問した理由
【現地特別ルポ】

(写真:現代ビジネス編集部撮影)

75年目という節目に

「ハワイには何度も来たことがありますが、パールハーバーを訪れたことはありませんでした。この一年、戦後70年ということで、先の戦争について考える機会が増えるなか、どうしても一度は訪問したいという気持ちが強くなりました。実際にこの目で彼の地を見て、亡くなった方への祈りを捧げたいと思ったのです」

ハワイの中心部・ワイキキから車を30分ほど走らせたところに位置する「U.S.Sアリゾナ記念館」。真珠湾攻撃によって亡くなった人々の追悼のため海上に建てられたこの施設に、日本時間8月22日早朝、犠牲者に向かって祈りをささげる安倍昭恵・首相夫人(54)の姿があった。「現代ビジネス」編集部は昭恵夫人の訪問に同行し、話を聞いた。

「ここで2400名もの人命が失われたんですね…。記念館に展示された様々な資料を見て、改めて『パールハーバー』がアメリカの人々にとってどのような意味を持つのかを知り、胸を痛めました」(昭恵夫人)

1941年12月7日午前7時55分(日本時間12月8日午前3時25分)、日本海軍の連合艦隊機動部隊が真珠湾を強襲。2時間にわたる攻撃によって、戦艦を含む12隻の船が沈没・座礁、164の航空機が破壊され、民間人49名を含む約2400名が亡くなった。

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太平洋戦争の「最初の戦いの舞台」となった真珠湾。アメリカでは、宣戦布告がなされぬまま攻撃が実行されたことへの憎しみと、多くの人命を一瞬で失った悲しみを込めて、12月7日は「day of infamy(汚辱の日)」と呼ばれている。「リメンバー・パール・ハーバー」の言葉とともに、いまでも第二次世界大戦の忌々しい記憶としてこの日のことが語り継がれているのは、周知のとおりだ。

過去、アメリカは日本政府に対して「日米の和解をさらに進めるためにも、日本国首相の真珠湾訪問を歓迎する」と何度も呼びかけてきた。が、日本政府がこれに応えることはなかった。国内で「奇襲ではない」「訪問をすれば謝罪は必至。なぜ謝罪をする必要があるのか」という声があり、そうした意見に配慮したため、と言われている。

その空気が大きく変わったのは、今年5月。オバマ大統領が、現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪問、17分間にわたるスピーチで平和の尊さを訴えたことで、「アメリカが過去に向き合ったのだから、安倍首相も真珠湾を訪問して、過去に向き合うべきだ」との意見が、外部からのみならず政権内部からも聞こえてくるようになった。

真珠湾攻撃から75年という節目に当たる今年、日本の首相がはじめて真珠湾を訪問するかもしれない――。そんな気運が高まる中、安倍昭恵夫人がアリゾナ記念館を訪問したのだ。