金融・投資・マーケット
元銀行支店長が明かす、大金持ちへの「最短ルート」〜自らも実践中
銀行員と賢く付き合う方法
〔PHOTO〕iStock

前回は、銀行員から信用されることがお金持ちになる近道だ、ということを説きました。(「年収1000万円超を目指すなら、銀行員を信じなさい! お金が貯まるのは、こっちだ」こちら)でも、銀行員とうまく付きあうって、どうすればいいの…?今回は、その方法を具体的に解説します。

仲良くなるために、金融商品を買う必要はありません

銀行とどれだけうまくつきあうか。これがお金持ちになれかどうかを決める。

極端に聞こえるかも知れませんが私はそう考えています。

前回もお話ししたように、銀行から資金を調達して収益不動産に投資することが、普通の人が資産を形成する有効な方法だからです。

ただ、銀行からお金を、しかも有利な条件で調達するためには、銀行と仲良くすることも不可欠です。そこで、今回はそのための方法を紹介したいと思います。

銀行と仲良くしなさいというと、個人年金保険や投資信託を買ってあげないといけないと思うかもしれません。

確かにこうした商品は、銀行に入る販売手数料が高いため、それを売れば銀行員の成績につながるため、喜ぶことに間違いないでしょう。

彼らもサラリーマンですから、上司の評価に結び付くような行動をとるのは当然で、相手が納得して買ってくれるのなら喜んで買ってもらうことは、否定できません。

ただし、私はみなさんに自分の得にならないことまでして銀行に好かれましょうと言うつもりはありません。リスク商品は、おつきあいで買うべきではありません。リスク商品を買うことと、融資を受けやすくすることは別です。

では、どのようなつきあい方をするのが銀行にとって、好ましいお客になる上で必要なのでしょうか。

まず、利息についての魅力はないかも知れませんが、積立定期預金をする。これが銀行に対して信用度を高める上では一番です。特に20代から30代はなにも考えず、給与からの天引きで貯金をすることをおすすめします。

この時期は人生で最も時間的に忙しい時期ですから、そんな時にリスク運用をしても勝てる可能性は高くありません。仕事をさぼってトイレにこもってFX取引をすることもできるでしょうが、そんなことをして仕事に集中できず、安定した仕事を失い、せっかく手に入れた優良な属性を失うのでは、本末転倒です。

反対に少額でも収入の2割を積み立て貯金しているという実績があれば、それは大きな信用になる。銀行員に対して信用が「見える」ようにしてあげることが大切なのです。

信用金庫を使い倒す

さらに余裕があれば、ボーナスが出た時など、メインにしている銀行とは別に地元の信用金庫で定期預金をするのがおすすめです。

信金などは、融資をうける際の貸付金利はメガバンクに比べて高いことが多いので、住宅ローンを組む場合もまずはメガバンクを最優先にしたいところですが、投資目的で複数の不動産を購入したいと考え始めると、メガバンクは途端に壁が高くなる。そんなときに頼りになるのが信金・地銀などの地域金融機関です。

できれば定期預金の口座を作る時などに、「自分は将来、不動産投資をしたいと思っています。そのときは相談に乗ってください」と担当者にさりげなくいっておくのもいいでしょう。こうして「信用」の種をまいておくことが、将来資金を調達する際に実を結ぶのです。

大きな資金融資を有利な条件で引き出すためには、銀行に投資の実績をアピールするのも有効です。ただし、どんな不動産でもいいわけではありません。その典型が新築の区分所有のマンションへの投資です。

つい先日も、老後が不安だからという理由で都内に投資用新築マンションを購入したものの、値下がりしてにっちもさっちもいかないという相談を受けました。その人は大手商社に勤務する40歳の男性で、8000万円の新築マンションをフルローンで購入したものの、利回りが悪く、毎月赤字が続いているというのです。

まず、知って欲しいことは、新築は買った途端に2割下がること。販売価格には販売会社の利益や広告代が乗っているからです。逆に言えば物件本体の価値は、売値の8割。こうした物件を買うなとは言いませんが、問題はそうした事実をわかっていますか、ということです。

当然、評価額はローンの残債を上回っています。ここで売却すれば損が出てしまう。さて、どうすればいいのでしょうか。

海外不動産はもっとも危険

まずは自分の失敗を認めること。このまま引きずっても泥沼にはまるだけです。

具体策としては、マンションを売りつけた営業マンに「手数料を通常の倍(通常3%を6%)出してもいいから買い手を探してくれ」と頼む。その分も損が増えますが、ここでは一刻も早く傷口を止めることを最優先するべきです。

一旦精算すれば、バランスシートも改善します。これが重要で、今のバランスシートのままでは銀行は絶対にお金を貸せません。将来お金持ちになるためにも、小さな傷でこの場を乗り越えることが大切なのです。

売らなければ損は出ていないと思うかもしれません。それは完全な誤解で、銀行員は融資の際、あなたの資産状況について精査を行います。バランスシートが毀損している人は評価が下がります。せっかくいい属性で、借金をしていい物件を買える資格があるのに、粗悪な不動産を買ったためにかえって信用力を失ってしまう。こんなもったいない話はありません。

新築の投資マンション以上に質が悪いのが、海外不動産です。フィリピンやタイなどのマンションへの投資は最近とても人気ですが、これも注意が必要です。

こうしたアジアの国は、たしかに人口が減る日本と違って人口が増えていますし、経済成長するから儲かる、と言われて買うのでしょう。その説明自体に嘘はありません。

先日も、自宅の土地を担保に2000万円を借金してタイのオフィスビルに投資した35歳の女性が相談に来ました。彼女は、もっと海外不動産に投資したいがどこに買えばいいか? という相談です。

私はその話を聞いてめまいがしました。こんなことを続けていたら彼女の信用がどんどん低下するだけだからです。

なぜか。日本の銀行は海外不動産の価値を評価する能力がありません。評価できないものの価値はゼロ。他方、借金があるということは間違いない。資産はゼロで、負債は2000万円。これでは信用が棄損するのは当然です。

海外不動産に投資すること自体が必ずしも悪いとは思いません。例えば、1億、2億の資産がある人がリスク分散のために海外不動産を持つのは正解でしょう。しかし、これから資産を増やさなければいけない人の場合は話が別。決して買うべきではありません。

つまり、なにをいつ投資するかは、順番がある。それを間違えば、むしろ自分で自分の首を絞めることになるのです。最悪の場合、いい属性であったとしても本当に借りるべき時に借りられなくなるので、是非ここは注意してください。

非正規はハンデなんかじゃない

最近は非正規社員の方も増えています。そうした方の中には「自分は貯金も少ないからお金持ちなどなれるはずがない」と諦めている人も少なくありません。

非正規の方にまず言いたいのは、非正規が正規に比べてお金持ちになる上で不利だという固定観念を捨てること。小金持ちになる上では多少は不利かも知れないが、お金持ちになるということなら、決してハンデではありません。むしろ正社員より優れていることもあるくらいです。

そもそも非正規の人は、個人事業主です。会社という組織に縛られないで生きていける個人事業主であり、社長なのです。自由なのだから、副業をすることも勝手。収入源を複数持つこともできる。これは正社員よりも有利と言えるでしょう。

非正規だと借金できないのではないか、と思うかもしれませんが、それも誤解。特に地域金融機関の場合、安定的かつ継続的に収入があることがアピールできれば、充分チャンスはあります。

過去三期間の売り上げ明細で、安定的に複数のクライアントから仕事の発注があり、売り上げも得ていることを示すことが出来れば完璧。それは、正社員として一ヵ所から給料を得ているのと同等か、それ以上に高く評価される可能性があります。

なぜなら、リスクが分散されているからです。正社員が安定しているのは勤めている会社が安定しているという前提での話。仮に会社が倒産すれば一気に収入が途絶えてしまう。

ところが複数のクライアントがある個人事業主は、一社が倒産しても他の二つがあれば慌てることがない。銀行は「リスク分散」という言葉が大好きなので、これはポイントが高いのです。

その意味で将来、資金を調達したいと考えるなら、一社に集中せず複数の相手と取引することを意識するといいでしょう。

大切なのは銀行に対して自分の信用度を上げる行動を意識すること。そして、それを相手に「見える」ようにしてあげること。それを続けることが、あなたの銀行に対する信用力を高めることになり、それが将来お金持ちになるための最短コースなのです。

菅井敏之(すがい・としゆき)
1960年生まれ。学習院大学卒業後、三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。個人・法人取引やプロジェクトファイナンス事業に従事。複数の支店で支店長を歴任した後、48歳で退職。アパート経営に乗り出し、現在は6棟(約75室)のオーナーとして年間7000万円の不動産収入がある。資産形成のための銀行活用法や住宅、保険の選択方法について講演やセミナー講師としても活躍中。著書『お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)は、40万部を超えるベストセラー。他にも『金の卵を産むニワトリを持ちなさい』(アスコム)『信頼残高の増やし方』(きずな出版)など多数。