週刊現代
“新・経営の神様”稲盛和夫が明かす「日本企業、大復活のカギ」
日本を「幸せに導く」方法とは
JALの再生では、人間性の大切さを説き続けた〔PHOTO〕gettyimages

聞き手/大西康之

京セラ(年間売上約1.5兆円)、KDDI(同約4.5兆円)という二つの巨大企業を創業、瀕死のJALを再生に導いたカリスマが語った、日本の会社を、そして日本の社会を「幸せに導く」方法とは?

虚飾をむしる

東芝や三菱自動車のような名門でなぜ不祥事が相次ぐのでしょうか。

稲盛 今の日本企業は才覚のある人をリーダーとして重用します。私はリーダーを選ぶとき、能力ではなく人間性や人格で選びます。能力に多少の問題があっても人格のある人は努力をして成長する。そういう人をリーダーに選んでこなかったことが、問題を引き起こしているのではないか。

昔、京セラがまだ町工場だった頃、滋賀の工場で細かい仕事を黙々とする男がいました。工場へ行くたびに、なぜか彼の手元に目がいってしまうのです。中学しか出ておらず、才能などない、真面目が取り柄の男でしたが、周囲に押される形で頭角を現し、課長、部長になっていきました。

経営者は「儲けたい」「会社を大きくしたい」という我欲を起点にしがちです。しかし、本来は「人間として何が正しいか」を起点に置くべきです。自分の会社に都合がいいことばかりを選ぶのではなく、たとえ会社に不利であっても人間として正しい道を選ぶ。

そういう信念を私はフィロソフィーと呼んでいます。フィロソフィーをしっかり持った上で、一心不乱に仕事に打ち込む。そういう生き方をしていれば、道を踏み外すことはありません。

おおにし・やすゆき / 日経新聞、日経ビジネス記者を経て、現在フリーの経済ジャーナリスト。著書に『稲盛和夫 最後の闘い—JAL再生にかけた経営者人生』『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説の技術者 佐々木正』など