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参院選で露呈した「若者に無責任な政治」のリアル

問われるべきは「大人」たちの態度だ
後藤 和智 プロフィール

問い直されるべき「大人の視線」

私は2015年6月に共同通信で配信された、選挙権年齢の引き下げに関する論考で、「問われているのはむしろ大人のほうだ」と述べました。

〈 しかし、若者の問題は社会情勢と無縁に存在しているわけではないし、それは中高年、高齢者の問題もそうだ。例えばデフレ不況に伴う財源の不足は、福祉の後退という点で現役世代も高齢者も苦しめるものだ。そうした世代を超えた課題に触れることなく、いたずらに「若い世代」の責任を強調するだけでは、かえって世代間の対立を強めることにしかならない。

今回の公選法改正で危惧されるのは、またぞろ「若者」と「大人」の対立をあおり、前者の「味方」であることを強調する論客たちによる「祭り」が再燃することである。「老害」といった言葉が乱舞する「祭り」の火種は、既成の政党からネットまで至る所でくすぶっている。そこに油を注ぎ、ヘイトスピーチのような不毛な分断を広げる愚は、避けなければならない。(後藤和智「不毛な分断は避けたい――世代間対立の再燃を懸念」2015年6月17日共同通信配信記事)〉

このような状況は、改善されないばかりか、むしろこの1年の間で悪化したと言っても過言ではありません。

若い世代による政治的な運動を無責任に持ち上げたり中傷したりして若い世代から「政治」を遠ざけつつ、いざ選挙となると若い世代に「政治的になれ」「社会が変わらないのはお前達の責任だ」という視線を投げかける状況は、果たして健全な状況と言えるのか。

改めて強調しますが、若い世代の政治参加を考えるとき、真に問い直されるべきなのは、「大人」たちの視線なのです。

後藤和智(ごとう・かずとも)
1984年生まれ、宮城県仙台市出身。 東北大学工学部卒業、同大学院工学研究科博士課程前期修了、修士(工学)。2004年に若者論を検証するブログを開設。 サークル「後藤和智事務所OffLine」としての活動は「コミックマーケット73」(2007年冬コミ)より。現在は若者論研究のほか、同人誌では統計学や社会学の解説書、データジャーナリズムなども扱う。公式ブログ: http://kazugoto.hatenablog.com/
1朝日新聞デジタル「SEALDs最後の会見『これで終わりじゃない』」2016年8月16日
2西谷格「「安倍の縁戚」から「旧統一教会(家庭連合)」まで 若きリーダーたちに会ってきた」、『SAPIO』2016年9月号、pp.24-25
3http://ironna.jp/moderator/1281
2013年7月20日毎日新聞大阪本社夕刊p.6
5https://twitter.com/tarareba722/status/749188878871859201