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参院選で露呈した「若者に無責任な政治」のリアル
問われるべきは「大人」たちの態度だ
〔PHOTO〕gettyimages


文/後藤和智(同人サークル「後藤和智事務所OffLine」代表)

若者たちの「政治の季節」

2016年7月に行われた参議院議員選挙から、選挙権を持つ年齢が18歳に引き下げられました。それと前後してか、若い世代において「政治的」な運動が広がりました。

最も有名なのは、大学生(当時)の奥田愛基らが創設した団体「SEALDs」でしょう。同団体は、2015年に安全保障関連法案に反対する目的で結成され、国会前のデモにも顔を出してきました。2016年の参院選においても活躍し、同年8月15日に解散しました。

SEALDsは、左派の運動界隈にも、ネット上においても、いまどき珍しい「政治的な主張をする若者」として、過剰と言える絶賛や批判に晒されてきました。左派においては、彼らを若い世代による新しい運動の旗手として持ち上げ、出版業界も関連書を多数出してきました。

思想家や知識人の中にも、彼らを礼讃する向きがあり、例えばいままで『下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち』(講談社、2007年)などで若い世代について誤った「解説」をしてきた内田樹はそのひとりに数えられるでしょう。

他方で、ネット上の、主に左派を嘲笑する側においては、彼らは共産党や左派政党の手先であるなどといった評価が常につきまといました。

私も経験はあるのですが、若い世代が何らかの政治的・社会的主張をすると、必ず「良識派」ぶる大人から「お前は誰々に政治利用されている」という「評価」を受けます。

例えば私が学生の頃、共著で『「ニート」って言うな!』(光文社新書、2006年)を出したり、若者論関係の勉強会や講演会に呼ばれたりしたとき、「お前は本田由紀氏(東京大学大学院教授、『「ニート」って言うな!』共著者)や浅野智彦氏(東京学芸大学教授、『検証・若者の変貌』(勁草書房、2006年)などの著者)に利用されている」というメールをいただいたことがあります。

自分とは考えが違う「若者」が現れたとき、彼らは自分の気に入らない、あるいは敵対している政治勢力の傀儡である、という考えはよく見られるものです。

そのため、SEALDsの奥田が解散の記者会見時に《「若い人がイエス、ノーを言うのがこんなにもつらく、大変なのかと思った」と活動の苦しさを語った1》というのは、実感としてよくわかります――特に、主に直上の世代による、左派への嘲笑、中傷が猖獗を極めているネット界隈の現状を知っていれば……。