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急増する「ブラックバイト問題」〜学生の未来を奪うほどの驚くべき実態
長時間労働、賃金未払い、セクハラ…
〔photo〕gettyimages


文/大内裕和(中京大学教授)

「これが本当にアルバイトなのか?」

「ブラックバイト」とは、2013年7月に私が考え出した言葉である。この言葉が、短期間にこれだけ多くの人々に知られるようになったのは、学生アルバイトの現状がとても深刻になっていることを示している。

2010年前後から、毎年恒例であったゼミ合宿が学生のアルバイトのために成り立たなくなった。また、試験前や試験期間中に「アルバイトのために勉強できない」という学生の悲鳴が上がるようになった。さらに、アルバイトのために、試験そのものを欠席して単位を落としたり、就職の面接に行けなかったりする学生と出会った。

私は「このままでは大学教育はできない」と考え、2013年6月~7月にかけて学生のアルバイト調査を実施した。この調査によって私は驚くべき実態を知ることができた。

学業に差し支える長時間労働、賃金未払い、サービス残業、ノルマを達成できないときに自分で商品を買い取る「自爆営業」、本人の希望を無視したシフト設定、辞める場合の罰金請求、パワハラ、セクハラ……違法行為や劣悪な働かせ方が横行していたのだ。

そこで学生の個人名を伏せて、自分のフェイスブックにバイトの実態を掲載した。短い期間にその投稿はとても多くシェアされ、内容にも大きな反響があった。

すでに大学を卒業してかなりの年数が経っている世代の人々からは、「これが本当にアルバイトなのか?」という驚きの声が数多く寄せられた。一方で現役の高校生や大学生からは、北海道から沖縄まで全国から「私の地域も同じです」との反応が返ってきた。

そこで私は、これは自分の身の回りのみの現象ではないと判断し、「ブラック企業」になぞらえて、「ブラックバイト」と名づけた。