SMAP解散と天皇「生前退位」の見えないつながり〜歌は世につれ、世は歌につれ
彼らはこうして時代の"象徴"になった
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文/中川右介

SMAPと平成という時代

1989年1月7日に昭和天皇が亡くなると、6月24日に昭和の戦後を象徴する美空ひばりが亡くなった。そして2016年8月8日、平成の天皇が生前退位を望むお気持ちを表明すると、13日から14日へかけての夜、SMAP解散のニュースがかけめぐった。

まさに、歌は世につれ、世は歌につれ、だ。

天皇は憲法で「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定められているが、アイドルもまた国民統合の象徴である――これは中森明夫氏が『アイドルにっぽん』に書いていることで、私も同意する。

一方、「一つの時代は、時代を代表する俳優を持つべきである」と書いたのは、三島由紀夫だ。

「一時代を代表した俳優の名を思いうかべるときに、その俳優の名のまわりに、時代の直接の雰囲気、時代の肌ざわり、肌の温かみともいうべきものをひろげる。(略)俳優とは、極言すれば、時代の個性そのものなのである」

SMAPのメンバーは平成という時代を代表する「俳優」であった。

では、いつからSMAPはそういう存在――「国民統合の象徴」にして「時代を代表する俳優」になったのか。

SMAPが天下を獲るまでの過程を、SMAPを歴史に位置づけるための小さな試みとして記したい。

CDデビューまで3年もかかった

SMAPは「衝撃のデビュー」をして「一躍、有名になった」のではない。

熱心なジャニーズ・ファンは別として、40代以上の人々にとってSMAPとは、「いつの間にか、よく知らないけど、最近、人気があるらしい」存在として意識されたはずだ。30代以下の人にとっては物心ついた時から人気のあるグループだろう。

彼らは、ある日突然、登場したアイドルではなかったのだ。