PC、ネットに続く第3のIT革命「ブロックチェーン」とは何か
数ある「フィンテック」の中でも別格
〔photo〕iStock

TEXT 池田純一

 ブロックチェーンとは何か

昨年末あたりからフィンテック(Fin-Tech)という言葉をよく聞くようになった。

Financial Technologyの略であり、直訳すれば「金融技術」。それがわざわざ「フィンテック」と愛称のように呼ばれるのは、それだけ手軽に語りたい要請があるからなのだろう。

ビジネス誌の特集や、ムック、単行本の刊行も相次ぎ、技術だけでなく法務に関する書籍も出始めている。ブームを越えてちょっとしたバブルの観すらある。80年代や90年代の、日本の家電産業がまだ元気だった時代と少し似ている。当時よく聞かれた「技術が社会を変える」という高揚感を漂わせている。

中でも今年になって注目を集めているのが「ブロックチェーン」だ。この8月12日にはついに、ダボス会議で知られるWorld Economic Forumが、ブロックチェーンを近未来の金融インフラとして位置づけるレポートを公表した。

仮想通貨であるビットコインの基盤であるこの技術は、利用者の間でビットコインによる支払いを完遂させるため、暗号化された情報をやり取りし、その取引結果を公開された台帳に記帳し、それらを分散して所有(共有)する。

具体的には、世界中の全ビットコイン利用者の間で10分ほどの間に行われた取引(transaction)を記録する単位が「ブロック」と呼ばれ、そのブロックが鎖(チェーン)状につなげられていくことで取引の正当性が確保され続けていく。それゆえ「ブロックチェーン」と呼ばれる。

もちろんただブロックをつなげるだけではダメで、そのために「マイニング(掘り起こし)」と呼ばれる「正しい取引として記録する作業」が、自発的な利用者――マイニングを行う者だから「マイナー」と呼ばれる――によってなされる。

では、なぜそんな面倒なことを自ら行うのかというと、それはあるブロックのマイニングに最初に成功したマイナーには、システムからご褒美として「金一封」がビットコインで支払われるからだ。つまり、システム維持に対するインセンティブが予め設定されている。

こうしてマイニングを一種のゲームとして競い合う、奇特なユーザーである「マイナーたち」が一定数存在することで、ビットコインというシステムの稼働は継続されていく。

このマイニング過程はシステムの側から見れば、新規のビットコインを「市中」に放流(リリース)することであり、要するに新札の発行である(いや、ビットコインだから貨幣の鋳造か)。

つまり、システム全体の記帳作業が、同時に新札発行作業となり、そうしてビットコインシステムが自律的に活動を続けていく。よく考えられたシステムなのだ。