習近平も唖然!? 英国の"親中路線"に待ったをかけたメイ新首相は「鉄の女」の再来か
中国の原発投資計画をドタキャン
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正式決定の数日後

昨年10月、中国の習近平国家主席がイギリスを訪問し、国会や大晩餐会でスピーチをしたり、エリザベス女王と馬車でロンドンの街を駆けたり、バッキンガム宮殿に泊まったりした話は、いくばくかのショックと共に、まだ私たちの記憶に新しい。

中国はこの訪英で、総額400億ポンド(約7兆4,000億円)に上る商談を決めたのだが、中にはサプライズもいくつかあった。

その一つが、イギリスでの原発プロジェクト。ヒンクリーポイント、ブラッドウェルなど三ヵ所の原発プラントに、中国企業CGN(中国広核集団)が参画することが決まったのだった。

ヒンクリーポイントでは、EDF(フランス電力)が仏アレバ社の新鋭機を2基建設する予定だ。資金の3分の2をEDFが、3分の1をCGNが出資するという。一方、ブラッドウェルではCGNが3分の2を出資し、なんと、中国の国産原子炉「華龍1号」が建設されるらしい。英国内では反対の声もあったというが、それをキャメロン首相が押し切ったのである。

実はイギリスは、原発を20年以上も作っていないので、もう自分たちでは作れない。資金もない。一方、頼りにしていたフランスは、原発は作れるが、資金繰りがつかない。そこへ登場したのが、お金があり、しかも原発技術大国になりたい中国というわけだった。

習近平氏に取り入るようにして、この大取引を物にしたキャメロン首相、技術も資金も“他人のフンドシ”のわりには、いたくご満悦の様子だった。

さて、8ヵ月の時が流れ、国民投票でイギリスのEU離脱が決まったのが6月23日。EUを大混乱に陥れた張本人、キャメロン首相は鼻歌交じりで退場し、7月13日、代わって就任したのがテレーザ・メイ新首相だ。

折しもフランスでは、前述のヒンクリーポイント原発の投資計画がようやく正式決定されたばかりだった。ところが、関係者一同がホッと胸をなでおろしたのも束の間、数日後には地獄の釜をひっくり返したような騒ぎとなった。

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8月2日、ロイター通信が伝えたところによれば、重要なインフラ施設への中国の関与には安全保障上の懸念があるとして、メイ首相の命令で、計画が再検討されることになったのだ。首相になって、いの一番に下した命令の一つだろう。このドタキャン、すでにオランド仏大統領には電話で伝えてあるという。

思い返せば、最近、英中は異常に接近していた。AIIBへの参加をいち早く決めたのもイギリスだったし、11月末に決まった人民元のSDR入りについても、詰めは、習近平・キャメロン両氏がロンドンで行ったと思われる。

習近平氏は、これによって人民元決済や元建て債券の発行が大々的に可能になると踏み、キャメロン氏は、人民元ビジネスの利権を手にしてガッポリ儲けるつもりだったろう。つまり両首脳は手を取り合い、英中「黄金の10年」に突入しようとしたわけだが、ひょっとするとメイ首相はこれから、それら中国寄り路線を一つ一つ覆していくつもりなのか?

メイ首相とはいったい何者だろう?

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