芸能事務所の名前も浮上した、高野山真言宗の内紛と「不動産トラブル」
【PHOTO】gettyimages

不可解なカネの流れ

高野山真言宗の八事山興正寺(名古屋市昭和区)が揺れ続けている。

330年前の1686年(貞享3年)に建立され、尾張藩2代目藩主・徳川光友の帰依を受けて繁栄、「尾張高野」とも称せられる。境内には、東海地区に現存する唯一の五重塔があり、国の重要文化財となっている。高野山真言宗の別格本山である。

その名刹が、梅村正昭前住職の興正寺所有不動産売却をめぐって高野山真言宗とトラブルになり、14年1月、梅村氏は罷免された。梅村氏は譲らず、地位確認訴訟を起こすなど訴訟合戦に突入している。今年に入ってからは名古屋国税局の税務調査が本格化、興正寺は15年3月期までの3年間で、約6億6000万円の申告漏れを指摘され、約8600万円の追徴課税を支払っている。

しかし、税務問題は序章に過ぎない。

名古屋国税局の調査で判明したのは、梅村前住職が行った破天荒としかいいようがない「不可解なカネの流れ」である。

梅村前住職が12年に売却したのは、中京大学に隣接した約6万6000平方メートルの土地で、同大学はこれを約138億円で購入。この資金が、都内港区のコンサル会社に約42億円、梅村氏が出資する英国法人に約14億円、都内大田区のコンサル会社に約5億円、都内渋谷区の芸能プロダクションに約1億3000万円と、野放図に使われた。

こうした税務調査の結果を踏まえ、高野山真言宗と、梅村氏の後任となった興正寺の添田隆昭住職(高野山真言宗・添田宗務総長が兼務)が、梅村氏を刑事告訴する方針を固めた。「興正寺問題に関する記者会見のご案内」が報道各社に回され、名古屋市のホテルで8月19日に開催する旨が記されていたが、その場で背任告訴が発表されそうだ。

興正寺問題の奥は深い。反社会的勢力を含む多くの人物が、大量の資金流入に舞い上がる梅村氏に食い込んだ。

流出先には、私が本コラムで「豊田家直系企業が抱える訴訟トラブル~マネーゲームの道具にされて…」(16年3月31日配信)で指摘した豊田D&C、中小企業の再生支援を行うNPO法人の関係先、人気アーティストGACKTのファンクラブの元社長らが関係する芸能プロダクションなどの法人を含むだけに、刑事告訴を受けて捜査が始まれば、裾野の広い事件になりそうだ。