AI VR
カンヌ・ライオンズで露呈した日本企業の「弱点」~いま世界が求めているのは「三方よし」のマインドだ
誰のため、何のためのビジネスか?
筆者撮影

カンヌ取材10年で見えたもの

AI(人工知能)は本当に社会や生活を根本的に変えるかもしれない。しかも我々の想像より早い時期に――。ふと、そんなことを感じた。今年の「カンヌ・ライオンズ」を取材していく過程でのことである。

昨今、AIに関するニュースが過剰なほどに飛び交っている。様々な分野でそれが活用されることへの期待が語られる反面、「AIは人から仕事を奪うのでは?」といった悲観的内容の読み物もよく目にする。

一方で、その本格的普及は「まだ少し先のこと」といった空気もないわけではない。コンピュータの知能が人類を上回る、いわゆる「シンギュラリティ」は2045年近辺という説から、私自身そう思っていた。「なんだ、まだ30年後じゃないか」と。

だが、今年のカンヌ・ライオンズでは、AIがすでに生活に浸透し始めている様を、リアルにウォッチすることができた。AIは世界的囲碁棋士に勝てるだけでなく、油絵も描ける。すでにスポーツ記事等の執筆を任せるメディアがあるという話は聞いていたが、いまや雑誌を一冊、編集・デザインすることも可能だ。その現物も見た。

カンヌライオンズ(以下、カンヌ)は、正式には「Cannes Lions International Festival of Creativity」という。かつては「カンヌ広告祭」と呼ばれ、「世界中の面白コマーシャル」の見本市のような広告業界向け国際フェスティバルだった。

私は2007年から同フェスティバルの現地取材に入っているが、この15年の急速なネット社会化の流れを受け、近年では大きく変貌を遂げている。

フェスティバルを牽引しているのは、いまも広告・マーケティング業界であることには変わりない。しかし、いまやその手の業界イベントとも言い切れないほど領域が拡大しているのだ。