東洋の魔女から昭和の三四郎まで…日本人金メダリスト「全員」のいま【一覧付き・前編】
'28年アムステルダム五輪~'64年東京五輪
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世界の頂点に立った日本人たち。金メダルは彼ら彼女らに何をもたらしたのか。リオ五輪開幕直前に金メダリストの「その後」を一挙紹介—。

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金メダルの「光と影」

'64年東京五輪で「東洋の魔女」と世界に怖れられ、金メダルを獲得した女子バレーボールの選手たちは今どこで何をしているのか。当時レシーバーとして金メダルに貢献した松村(現・神田)好子(75歳)が語る。

「東洋の魔女と呼ばれたメンバーのほとんどが、日紡貝塚(現・ユニチカ)の所属選手でしたが、五輪後全員が辞めました。私は知人の紹介で別の会社に転職し、OLとして働きました。引退後はもう普通の生活ですよ。子育てをしてね。会社の皆も普通に接してくれたことは有り難かったですね」

現在松村は、ママさんバレーの指導をしているが、それもあくまでボランティアだという。

「おカネとはまったく無縁の人生でしたね。東京五輪の時も日紡貝塚の社員としての給料だけでした。金メダルのボーナス?ないですよ、そんなもの。あくまで五輪はアマチュアスポーツ。あの頃はみんな純粋に勝利だけを目指していたんです」

体操日本代表として合計5つの金メダルを獲得した小野喬(85歳)は「金メダルは人生の転機になったが、そこにはプラスとマイナスの両面があった」と語る。

「金メダルを獲ったことで、それまで付き合いのなかった人から、事業の誘いや儲け話などをもちかけられたこともありました。幸い私は表に出るタイプではなかったので、そういう誘いには応じませんでしたが……。金メダルを獲ったからといって、勘違いしてはいけない。私は普通の人と同じ感覚で生活してきました。だから、金メダルも国立競技場にあるスポーツ博物館に寄付したんです」