「本当にトランプでいいの?」ヒラリーが共和党に打ち込んだ"くさび"
米大統領選2016、いよいよ本選へ
民主党大会で指名受諾演説をするヒラリー・クリントン〔撮影筆者〕

文/渡辺将人(北海道大学准教授)

いよいよ本選挙へ

初の女性大統領候補としてヒラリー・クリントンが民主党の指名を受諾した。これをもって、アメリカ大統領選挙は、本選挙が本格始動した。

民主党の全国党大会は、反発を示すサンダース派の懐柔に振り回されつつ、リベラル支持基盤の活性化と共和党の分断の両睨みで「反トランプ」カードを全開に切った。現地報告で党大会を振り返りながら、本選への課題を占う。

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筆者は共和党大会(クリーブランド)と民主党大会(フィラデルフィア)の谷間の週末、首都ワシントンを駆け足で訪問した。面会した議会スタッフやオバマ政権関係者の間には、副大統領候補について「現実的にはティム・ケインが妥当」「もう少し冒険してほしかった」という両方の意見が見られた。

ケインが妥当な理由は前号(「ヒラリーとトランプ、「副大統領選び」の思惑」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49286)で記した通りだが、付け加えれば民主党が奪還を目指す連邦上院で1議席も渡せないためだ。

アメリカではいくつかの例外州を除き、連邦上院議席に空席が生じた場合、州知事が議員を臨時で指名する。したがって、民主党知事の州の上院議員でなければ、議席を相手政党に譲ることになる。

その意味で、「最終候補」に噂されていたコーリー・ブッカー上院議員(ニュージャージー州選出)、シェロッド・ブラウン上院議員(オハイオ州選出)は、「知事が共和党の州なので、あり得ない」(民主党関係者)というのがインサイダーの共通見解だった。ケインの地元バージニア州は民主党知事だった。

エリザベス・ウォーレンの地元マサチューセッツ州も共和党知事で、この条件に抵触していた。ウォーレンが選ばれなかったのは「案の定」といえる結果であるが、サンダース派は彼らのアジェンダを党綱領に加えて政権にも放り込む上で、「副大統領候補」をパイプに望んでいただけに、落胆は大きかった。

サンダース支持者の「反ヒラリー」デモ

サンダース陣営で若年票の組織化を担当していたアフリカ系の知人は「バーニーが負けて悔しい。トランプを阻止するために、ヒラリーに投票はするけど、ヒラリーを応援するための活動はしないし献金もしない」と語る。

サンダース支持者の若者の中には「バーニー以外には、金輪際、誰にも投票しない」「これで自分の政治への関心は閉ざされた。もう二度と選挙に参加しない」という極端な意見も少なくない。