いつまで高校球児の"肩"を酷使し続けるのか? 元大リーガーが斬る「甲子園」の大問題
「志願の連投」は美談じゃない!
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「故障と甲子園」本当の関係

夏の甲子園がいよいよ始まりました。みなさん同様、僕も楽しみにしています。観戦していても楽しいものですし、若い才能が輝く瞬間には誰もが魅了されます。

ただ、楽しみと同じくらい、元甲子園球児としても、野球関係者としても、危機感を抱いています。

その理由は様々ですが、いちばんの危惧はやはり投手の肩の酷使ですね。ここ20年で500球を超えて投げ、現在もプロで活躍している投手を調べてみました。その中にはもちろん、連投も含まれています。

春のセンバツでもっとも球数が多かったのは安楽智大投手(愛媛県済美高校出身/楽天)で、5試合で772球を投げています。夏は斎藤佑樹投手(東京都早稲田実業/日本ハム)で、7試合で948球を投げ抜いています。

他にプロに進んだ投手を挙げると辻内崇伸投手(大阪府大阪桐蔭/巨人/13年引退)が5試合696球、一二三慎太投手(神奈川県東海大学相模/阪神/のち野手に転向)の5試合665球などが目立ちます。現在、阪神でローテーションを任されている藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭)も春に5試合659球、夏にも4試合で516球を投げていますね。

彼らの甲子園でのパフォーマンスは圧巻でしたが、プロの世界で甲子園同様にチームを勝ちに導く投球ができているかといえば、必ずしもそうとは言い切れません。

メジャーに渡った投手の球数もピックアップしてみます。ダルビッシュ有投手(東北高校出身/現テキサス・レンジャース)が5試合で505球。田中将大投手(駒大苫小牧/ニューヨーク・ヤンキース)が6試合658球、松坂大輔投手(横浜/ソフトバンク)も6試合で767球を投げています。

彼らはまだまだ現役の投手なのでうかつなことは言えませんが、3投手とも手術を経験したり、活躍できない1年を余儀なくされたりと、不本意なシーズンが共通して存在します。

逆にメジャーのスターターとして複数シーズンに渡ってローテーションを守った投手といえば、野茂英雄投手(大阪府立成城工業/現成城高校)、黒田博樹投手(大阪府上宮高校)、岩隈久志投手(東京都堀越高校)あたりでしょうか。この3投手は甲子園のマウンドを経験していません。

もちろん、直接的に「故障の原因は甲子園だ!」とは断言できませんが、多くの人はそう捉えてしまうでしょう。100球が目安となる現代の野球で、プロでも650球なんて2ヵ月近くかかって投げるのに、それを連投を含め2週間で投げてしまうとは、ちょっと考えられない数字です。

実際にメジャーのスカウトは日本の高校野球でどれだけ肩を酷使しているか数値としてデータを持っていますし、「甲子園に出たピッチャーは故障する可能性が高いから、コリアのピッチャーを探そう」と目先を変える球団も出てきていると聞きます。甲子園出場は必ずしもいいことづくめ、とはいえないのがアメリカからの視線と言えます。