週刊現代
これさえ読めばあなたの恋愛観がガラリと変わる!? フリーアナウンサー・南美希子さんが選ぶ「この10冊」
フリーアナウンサー・南美希子さん

私がひねた恋愛を繰り返した原因

父も母も読書家でしたので、書棚にはたくさんの蔵書がありました。幼い頃に父が私を膝に乗せて、『桃太郎』や『マッチ売りの少女』といった名作童話の絵本をよく読み聞かせてくれたのを覚えています。本がある生活が当たり前でしたから、自然に私も本に親しむようになりました。特に10代の頃は小説を読み漁りましたね。

中でも三島由紀夫の描く世界が好きで、作品は全部読みました。ですから、私の本棚にはオレンジ色の背表紙の三島の新潮文庫本がズラリ。とりわけ、大学1年生の時に読んだ『憂国』には圧倒されました。新婚の美しい中尉夫妻の物語で、夫の自決を見届けた後、妻が後を追うという話です。エロスと死というのはやっぱり隣り合わせなんだな、と。

文章でこれだけの耽美、優美を表現できるということが私にとっては衝撃的でしたね。ストーリーも素晴らしいのですが、一語一句が美しくて、いつか私もこんな世界を書けたら、と思って。「三島になりたい」というその一存で、26歳の時に自叙伝を書いたぐらいです。私の最大の憧れであり、インスパイアされたのが三島由紀夫です。

一方、私に恋愛観というものを植え付けてくれたのが石川達三。彼は社会派小説家としてのほうが有名かもしれませんが、私はもっぱら『悪女の手記』といった男女間を扱った小説を読んでいました。彼にとっての理想の女性像は、恋愛に溺れても自分を失わない女性ですが、2位に挙げた『誰の為の女』はまさにそれを体現しています。

1回きりとはいえ、関係を結んでおきながら突如絶縁状を寄こした男性医師。そんな彼に対する恨み節を綴った書簡形式の小説ですが、それにも拘わらず陰湿な部分がまるでない。それは彼女が何度となく男に踏みにじられ翻弄されても決して己を失わない、とても芯の強い女として描かれているから。

この小説の影響もあってか、ハーレクインみたいなハッピーエンドの愛みたいなものには見向きもしなかったですね。そのせいか、10代の頃から結構ひねた恋愛をしていました(笑)。とにかく石川達三には作家の底力を感じましたね。ペンの力さえあれば無限の世界を開いていけるんだな、って。

忘れられない絵本といえば3位の『風の又三郎』ですね。私はアナウンサー出身なので読むことは得意ですから、息子には少しでも多く本の読み聞かせをしてやりたいと思ったんです。ですから、週末ごとに表参道にあるクレヨンハウスという絵本専門店に行き、絵も文章も好ましく、なおかつ読んだ後に心が温まる絵本を20冊ぐらいまとめ買いしていました。