瞬間最高視聴率59.5%!シドニー五輪でQちゃんが見せた「意地の激走」〜あの金メダルまでの道のり
高橋尚子×小出義雄×金哲彦
瞬間最高視聴率は59.5%。約6000万人の日本国民がゴールを見届けた
シドニー五輪女子マラソン/2000年9月24日、日本からは高橋尚子、市橋有里、山口衛里が出場。同大会では柔道以外に金メダルが無い中、高橋が優勝し、陸上競技で日本女子選手初の五輪金メダリストとなる。ゴールタイムの2時間23分14秒は当時の五輪最高記録〔PHOTO〕gettyimages

「残すはたった42km」。圧倒的な練習量を積み重ねたQちゃんにとって、その言葉は紛れもない事実だった。尊敬する師と二人三脚で歩んだ道のりを振り返る。

出会った時は素人だった

小出 Qちゃんが'00年のシドニーで金メダルを取ってから、今回のリオデジャネイロが4回目の五輪。あれからもう16年が経つんだね。

金 日本の女子陸上競技では初の金メダル。素晴らしい走りでしたけど、実はマラソンに転向してわずか3年半ほどでの快挙でした。

高橋 大学までは800mがメインで、マラソンの「マ」の字も知らなかった。高校、大学も含めて私がマラソンを走ることを想像した人は誰一人いないと思います。お二人をはじめ、本当にみなさんのおかげです。

小出 Qちゃんとの出会いは、大学4年のときで、リクルートに入りたいと僕に会いにきてくれた。入れる気はなかったんだけど、合宿に参加させて走りを見たら、「あれ?」って思ったよ。全然知らなくて期待していなかった大学生が、みんなと26kmを走らせたら1番で帰ってきて驚いた。

金 当時のリクルートの選手は日本のトップクラスで、日本記録を持っている子たちもいたのに、その中でも遜色なく走っていました。

高橋 他の企業からの勧誘を全部お断りして参加していたので、人生がかかっていたんです。だから、自分の能力以上に走れたんだと思います。

小出 その後、Qちゃんが'95年にリクルートに入ってきたときは、まだトラックの選手だった。僕は主にマラソンを指導して、金ちゃんがトラック担当だったんだよね。

高橋 最初の1年半くらいは5000mを中心に金さんに育てていただきました。金さんは体調が悪くても一緒に走って引っ張ってくれて、そのせいで入院してしまったこともありました。

たかはし・なおこ/'72年、岐阜県生まれ。大学卒業後、小出監督に師事。'00年、金メダル獲得後、国民栄誉賞を受賞。現在はスポーツキャスターなどで活躍
こいで・よしお/'39年、千葉県生まれ。実業団チームで陸上競技の指導を行い、有森裕子、鈴木博美らを育てる。現在は佐倉アスリート倶楽部の代表取締役
きん・てつひこ/'64年、福岡県生まれ。早稲田大学卒業。'86年にリクルートに入社後、ランニングクラブを創設。著書に『体幹スイッチ100』(講談社)など