国家・民族 スマートフォン
東南アジアの「ポケモン狂想曲」は何でもアリの満艦飾~軍事機密漏えい、自殺行為、配信阻止から不敬罪まで
正式配信はまだなのに…
ジャカルタのポケモンGOマニア〔PHOTO〕gettyimages

文/大塚智彦(PanAsiaNews)

日本でも加熱する一方の「ポケモンGO」人気が、東南アジアの国々でも灼熱の太陽に負けないほどの熱い盛り上がりを見せている。

軍当局が神経をビリビリさせる事態となっている一方で、「関知せず」を真っ先に公表する警察もあり、iPhoneの画面に集中することで引ったくり犯罪の増加を懸念する声もあがっている。

緩やかで、穏やか、ややもすると「いい加減」と日本人の目には映る東南アジアの「ポケモン狂想曲」を追ってみたい。

インドネシアでは軍・諜報機関が警戒態勢

実は本稿執筆時点(7月30日)で、東南アジア各国ではまだポケモンGOは正式に配信されていない。にもかかわらず、インドネシアではポケモンGOに興じる若者らが幾何級数的に増えており、約10万人がスマホ片手に街角を歩き回る姿が連日報道されている。

7月17日にはジャカルタの陸上競技場に約300人が集まり、アプリの操基本的な作方法を教え合ったり、安全にプレーするための議論をしたが、全て非正規ルートで入手したアプリを利用したポケモンGO愛好者である。

「海賊版」「非正規」は、批判を承知で言えば、ある意味東南アジアの“文化”であり、やれ意匠登録、版権などと目くじらを立てれば「角が立つ」というものだ。警察署の前で堂々と海賊版のDVDやCDが売られ、警察官自身も勤務時間が終われば警備のアルバイトに精を出し、勤務中であっても私企業のVIPをパトカーで先導をするということまでやってしまう“お国柄”であることも理解しなくてはならない。

日本でも公共機関や原子力発電所、名所旧跡、宗教施設などへの無断立ち入りの禁止が連日ニュースとして報道されているが、それはインドネシアでも同様である。

首都ジャカルタ中心部にある大統領官邸(イスタナ)には「官邸敷地内で職員や来訪者のポケモンGO禁止」といった張り紙が出され、それが地元紙で大きく報道されるなど、日本と変わらない現象が起きている。

国家警察長官は「警察官の職務中のポケモンGO禁止」と警察施設来訪者にも「施設内でのポケモンGO禁止」を発表した。中部ジャワ州のある警察署では、朝礼後に署員のスマホを抜き打ち検査し、ポケモンGOをインストールしているかどうかを調べたという。

国家行政改革省は公務員、国家機関の職員全員に対し「ポケモンGOの使用禁止通達」を出すなど、「ここまでやるか?」と思うほどの過剰反応を見せている。