大統領選 アメリカ
「トランプ大統領」誕生の可能性が高まった今、日米同盟の危機と未来について真剣に考えてみた
【PHOTO】gettyimages

「主軸」が揺らぐ

米大統領選で民主、共和両党の候補が決まった。菅義偉官房長官はクリントン民主党候補の指名受諾を受けて「日米同盟は外交の主軸」と強調した。だが、今回の大統領選は結果次第で「主軸」が揺らぐ可能性も秘めている。共和党のトランプ候補が勝った場合だ。

日米同盟が「外交の主軸」とか「基軸」であるといった言葉は、読者もこれまで何度も耳にしているだろう。だが、なぜ日米同盟が基軸なのか。新聞やテレビでしっかり解説を読んだり聞いたりした覚えはあるだろうか。私はない。

政府の人間が折に触れて「日米が基軸」と力説しているのは、もちろん知っている。だがそれでも、なぜ日米同盟が基軸なのか、だれにも分かる説明が不足している。暗黙の了解であるかのように、基軸という言葉がすっかり「記号化」しているのである。

日米同盟の是非が政治の一大争点になったときは、いつだったろうか。

私の世代では1970年代の安保闘争だが、当時は高度成長の真っ只中だったせいもあって、国民世論を分断する大論争にはならなかった。真に争点化したのは、それより一世代前の60年安保闘争だった。

先の参院選では、日米安保条約の破棄を唱える日本共産党と民進党など野党4党が手を組んで、与党に挑んだ。野党連合は「安倍晋三政権が成立させた安保関連法は日本を戦争に導く」などと唱えたが、多くの支持は得られず惨敗した。

そもそも日米同盟を否定している日本共産党と容認している民進党が手を握った事実自体が、日米同盟が争点ではなかったことを逆説的に証明している。当の本人たちが「日米同盟の是非などたいした問題ではない」と思っていたからこそ手を握れたのである。

言うまでもなく、同盟関係は国の平和と安全、繁栄の土台だ。そんな重要問題がたいした議論にもならず記号化してしまうのは、平和と安全、繁栄が当たり前で、同盟を支えるロジックやコスト、代替案について深く考えなくなってしまったからにほかならない。

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