人口・少子高齢化 医療・健康・食 ライフ
不妊治療「後進国」ニッポンの真実~件数は世界一なのに、出産率は世界最下位って…
この国を覆う「困った事情」
【PHOTO】gettyimages

不妊治療の実施件数は世界一なのに、出産率は世界最下位。日本は、世界で一番「妊娠できない不妊治療」が行われている国だということをご存じでしょうか?

医学博士の浅田義正さん(医療法人浅田レディースクリニック理事長)と出産ジャーナリストの河合蘭さんが執筆、不妊治療後進国としてのニッポンの姿を浮き彫りにした話題書不妊治療を考えたら読む本よりその一部を特別公開――

何歳までに妊娠しなければならないの?

加齢による不妊の話を聞いたら、ほとんどの人が「いったい何歳までに妊娠しなければならないのか」ということを知りたくなります。

河合は、『卵子老化の真実』(文藝春秋、2013年)という本を書いた際、たくさんの人にどれくらい高い年齢の妊娠例を知っているかと聞いてまわりましたが、50歳前後で妊娠したケースを知る人にときどき出会いました。

その本で取材した女性の最高出産年齢は49歳です。歌手で俳優の白樺八靑(やお)さんという方で、不妊治療はしていない自然妊娠で妊娠中の経過も順調だったそうです。

その一方で、不妊治療の現場には、20代で閉経してしまう女性も訪れているのですから、人の身体は本当にみんな違います。若いのに卵子がなくなってしまう「早発閉経」は、20 代で1000人に1人、30代で100人に1人程度とされています。

しかし、一般的に出産可能な年齢の限界は、閉経の10年くらい前と考えられています。閉経年齢は平均的には50歳前後です。そうなると、40歳くらいが標準的な境界線だということになります。

それでも、40代になったとたん30代とまったく違う状況になるわけではありません。

不妊治療の専門医が「高齢だから」ということを理由に不妊治療の終了を提案する場合は、女性が42歳か43歳くらいになっている場合が多いと思います。


年齢が高くなるまでひとりも産んでいない女性がたくさんいる現代は、人類がかつて経験したことがない時代です。

だから、自分が思っていたよりも早くから妊娠しにくくなっていることに、驚いている人が多いのではないでしょうか。日本女性は、祖母や母親の世代より早く妊娠力を失ってしまっているのかもしれないのです。