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日立の英国ショックから学ぶ、経営者が「まさかの事態」に備えてやっておくべきこと
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数週間前の大騒ぎが嘘のように世間の注目度が急降下したイギリスのEU離脱騒動。マーケットは材料出尽くしで落ちつきを取り戻し、ニューヨークの株価は史上最高値を更新中ですが、実体経済への影響は、むしろこれからが本番です。これまで予想もしなかった事態が起こらないとも限りません。

そこで今回はイギリスのEU離脱を例に、「まさか」が現実になった時の企業への影響と、予期せぬ事態への備えについて考えてみたいと思います。

「ないだろう」が「現実」に

欧州に進出している日本企業にとって、今回のイギリスによるEU離脱の決定は少なからず影響を受けると思われますが、中でもインパクトが大きいと言われるのが日立です。

日立はイギリスでインフラ関連にあたる鉄道事業を強化中でした。鉄道事業の責任者はイギリス人ですし、27年間の保守点検事業をおよそ1兆円で受注しているほか、去年9月には約120億円を投じてイギリス北部に鉄道車両を量産する新工場まで建設しています。ここを拠点にEU全域に鉄道車両を売り込む計画だったのです。

しかし、イギリスがEUを離れてしまうとその目論見が大きく狂ってしまいます。まず、今後はEU域内への輸出には高い関税がかかるリスクが発生します。また当然ながら、イギリスにユーロ管轄の主要拠点を置いていた数多の会社が拠点編成の見直しを検討していることで、交渉自体が円滑に進むのかどうかも不透明になってしまいました。まさに先が見えない状態です。

欧州における事業計画だけにとどまらず、会社全体の見直しを迫られることも十分にあるでしょう。

今回の状況に対して多くの企業関係者からは「困惑している」というニュアンスの意見が聞こえてきます。たしかにイギリスが国民投票でEU離脱を選択したこと自体、予想外だったという論調が少なくありませんでした。事前の世論調査でも離脱と残留が五分五分か、やや残留が有利となっていましたから、その意味でも思っても見なかったということなのかもしれません。

ありえないことが起きたと言うよりも、「ないといいな、と思っていたことが現実になってしまった。これはまいったな」という方が正しいのではないでしょうか。

こうした「ないだろうと思っていたことが現実になった」例は過去にも起きています。