エンタメ 週刊現代
相撲解説に笑い、歴史に学び、映画論にうちのめされる…夏の読書は発見に満ちている!

生島淳の読書日記

巧みなモテ男の話術

大相撲名古屋場所が行われているが、テレビ中継の解説が北の富士さんだと、じっくり腰を据えて見たくなる(実はラジオの方が自由で、さらに面白い)。

技能の解説もさることながら、ユーモアがある。実況のアナウンサーが下手だと、無言でそれに応える。名古屋場所の初日には、向正面解説の舞の海親方をたしなめる場面さえあったが、それが嫌みにならない。解説に「芸」があるのだ。

北の富士さんの魅力を活字で味わえるのが嵐山光三郎さんとの対談、『大放談! 大相撲打ちあけ話』。読んでいる最中、大いに笑った。

たとえば、こんな具合。隠岐の海については……。「いろんな弟子を見たけど、あんな稽古をやらないやつ見たことない」

これはラジオの解説で実際に言ったものだが、それ以降、「お母さん、口きいてくれないんですよ」とは舞台裏を暴露。

ユーモアも炸裂。最近、いわゆる「スー女」が増えて、力士にちなんだ浴衣をよく着るという話から、「『朝青龍』なんて描いてあるのを女の子が着ていたら、男は手え出さんでしょうね(笑)」なんてことまで言ってしまう。

北の富士さんは現役時代、銀座でモテモテだったし、酒が大好き。ドイツに行った時の話はこんな調子だ。

<北の富士 でかいピッチャーですか? あれ、大きなジョッキだと思って、グイーッと飲んだら、周りのドイツ人がびっくりしてたな。

嵐山 やっぱり酒飲んだほうが強くなるんですかね。

北の富士 いや、飲んだ人はたいてい早死にしています。>